全身が焼けただれて癒着した「ロバ女」 ― テキサス最凶心霊スポットにまつわる恐ろしくも悲しい都市伝説

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 日本の都市伝説と言えば、古くは「口裂け女」や「人面犬」、新しいものならば「テケテケ」や「サトリ」など、時としてメディアを巻きこんで全国に名が知れ渡るものもある。また、都市伝説は日本に限らず世界中で見られるものであることは皆さんもご存じだろう。

 今回は、その中からアメリカのテキサス州で語り継がれている都市伝説とある場所をご紹介したい。

■悲しみと絶望の果てに……「ロバ女」伝説とは

 アメリカ南部に位置する全米有数の観光都市として知られ、古き良きアメリカの佇まいと中南米の文化が共存しているテキサス州サンアントニオは美しく活気に溢れる都市だ。

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サンアントニオのダウンタウン By Jouaienttoi – Wikipedia – Downtown San Antonio view from The Tower of the Americas.jpg, CC BY-SA 4.0, Link

 しかし、都市部から少し離れるとうっそうとした林の中に古い橋が見える。地元住民も日没後は近寄らないというこの橋は、「ロバ女の橋」の異名でテキサス南部を中心に知られる心霊スポットなのだ。名前だけ聞くと、どことなくコミカルに感じるかもしれないが、その由来をまずはご覧いただこう。

 ロバ女と呼ばれる霊にまつわる言い伝えは、1800年代までさかのぼる。サンアントニオのダウンタウンから車で北へ30分程のエルムクリークという町に、貧しいながらも農業を営む4人家族が住んでいた。

 ある日、周辺地域の地主のバカ息子が馬に乗り、家族の暮らす敷地内に侵入して家畜の動物に暴力を振るい始めた。夫が草原にいるはずのラバ(雄のロバと雌の馬の交雑種の家畜)の悲鳴を聞き駆けつけると、そこには無抵抗のラバに殴る蹴るなどの暴行を加える男の姿があったという。

 一家の投げた石のいくつかが命中して男はその場から一旦は退散したが、その日の夜遅くに仲間を引き連れて戻り、家族の住む家に火をつけた。その結果、2人の子どもは生きたまま焼かれ、家族の主は銃殺され、妻も炎に焼かれて全身に火傷を負ったという。

 激しく燃えさかる火の粉を浴びた彼女の顔は恐ろしく変形し、皮膚が溶けて垂れ下がった。手の指は激しい炎のせいで皮膚が溶け、ロバのひづめのように指同士がくっついた。女性は焼けてしまった家を後に、付近のエルム川の橋から身を投げたといわれている。

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「ドンキーレディ・ブリッジ」と呼ばれる橋 「Backpackerverse」の記事より

 以降、現代に至るまで付近の人々はこのエルム川の橋を利用してきたが、生きているその女性を見たという話は聞かない。ただ、月日を経て、たびたび橋の下や水の中から恐ろしい叫び声を聞くという噂が広がるようになったのだ。

 さらには、この橋を通る車に女性が飛び乗り、ドライバーを手荒く扱うという体験談も複数報告されているようだ。その時目撃された女性は、まばらな長い頭髪で、全身の皮膚は焼けただれて垂れ下がり、それを隠すかのようにボロ布にくるまっていたという。

■ひとつではなかった!? あちこちで囁かれる都市伝説!!

 このエルム川の橋に現れる通称「ロバ女」については、ほかにもいくつかの伝説がある。例えば、1950年代に夫によって子どもと妻が生きたまま焼かれたという事件があり、妻は一命を取り留めたものの変わり果てた自分の姿に絶望し、森の中で1人孤独に暮らすようになった。

 車で橋へ行き、ライトを消して停車したまま待てば、その「ロバ女」が現れるという。地元の霊媒師によると、このエリアから圧倒的な恐怖を感じるといい、日没後は何人たりとも近づかないほうがよいと警告している。

 さらにもう1つの説は、我が子を女性が飼っていたロバに噛まれたと逆上した父親とその仲間が、女性とロバを橋から突き落としたというものだ。これ以降、付近ではロバの鳴き声や人間がロバを真似たであろう鳴き声が聞かれたり、車で通ると突然後部に重みを感じ、後に確認するとひづめの跡が残っていると伝えられている。

 この他にも「ロバ女」が出没する橋は複数あるという説や、エルム川以外の地域で1960年代から1980年代にかけて複数のロバや動物を飼っていた女性がモデルになっているという説もある。

 ロバ女が出没するという伝説があるエルム川から、わずか30分ほどのライブ・オークという町の運営アシスタントを務めるスコット・ウェイマン氏は「複数の場所でそれぞれの“ロバ女”の都市伝説がありますが、今あるものはそれらが組み合わさって1つになったものでしょう」と語る。

 都市伝説は、起源やその信憑性が定かではないものがほとんどだが、どれをとっても悲しく凄惨なロバ女の伝説の数々……。日本と同様、若者を中心に有名な心霊スポットとしてひやかしに訪れる人が後を絶たない現場だが、個人的には「ロバ女」と呼ばれる霊魂を静かに休ませてあげてと思ってしまうのだ。

(文=清水ミロ)

参考:「My San Antonio」、「Backpackerverse」、ほか

 

※当記事は2017年の記事を再編集して掲載しています。

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