太陽光を遮断?英国の「謎多き政府機関」が“禁断のジオエンジニアリング計画”を推進──気候変動を救うか、破滅を招くか?

影の機関ARIAが進める「太陽光遮断」プロジェクト
イギリス政府が、ジオエンジニアリングによる太陽光遮断を含む研究プロジェクトに7500万ドル(約115億円)を出資したことが明らかになった。この資金を受け取ったのは、2021年に創設された英国先端研究発明庁(ARIA)という、透明性の低さから“影の政府機関”とも呼ばれる存在である。
ARIAは、米国防高等研究計画局(DARPA)をモデルに設立され、2023年から本格始動。気候変動、AI、神経科学といったリスクは高いが革新的な技術に焦点を当て、通常の研究機関では扱いにくい分野を推進している。
だがその一方で、情報公開請求の対象外とされていることから、英国メディア協会をはじめとした団体が懸念の声を上げており、設立当初から議論を呼んできた。
太陽を遮る?21の気候工学プロジェクト
ARIAが進める「気候冷却プログラム」は、気候危機の進行を一時的に食い止めるための技術開発を目的としており、5年間で21のプロジェクトが選出された。
注目すべきは太陽光を遮断する試みだ。具体的には、石灰岩やドロマイトの粉を成層圏に散布し、太陽光の一部を反射させて地表の気温を下げるという「太陽放射管理(SRM)」と呼ばれる手法である。これは火山の大噴火による気温低下現象を人工的に再現するというアイデアに基づいている。
他にも、雲の反射率を高める「雲の増白」や、人工衛星による宇宙ベースのサンシェード(太陽遮蔽装置)といった、まるでSFのような技術も候補に含まれている。
これらの中には、すでに屋外実験が進行中のものもあり、例えばナミビア沖で行われた雲の増白実験では、結果としてアマゾン地域の降雨量が減る可能性が指摘されている。
科学界から上がる懸念の声
こうしたジオエンジニアリングによる太陽光遮断技術に対しては、科学界から強い警戒の声が上がっている。オックスフォード大学の気候科学者レイモンド・ピエラハンバート教授は、「国家的・国際的なルールがないまま、屋外実験に踏み切るのは極めて軽率」とし、英国政府の資金提供が他国に悪影響を及ぼす先例になると警告した。
また、マサチューセッツ州ウッドウェル気候研究センターのピーター・フラムホフ氏は、「温室効果ガスの削減を本気で行っていない国がこのような実験を行うのは不適切」と語っている。
スウェーデンでは、ハーバード大学による同様の太陽光遮断実験が住民の反対によって中止に追い込まれた過去もある。2025年5月にはフロリダ州がジオエンジニアリングを禁止する法律を可決するなど、世界各地で社会的な反発も広がっている。

氷を厚くする試みとその限界
他のプロジェクトでは、北極圏で氷床の上に海水をくみ上げて撒き、氷の厚みを人工的に増すという実験も行われている。これは地球温暖化による氷の減少を一時的に食い止めようという発想だ。
2024年の予備的な実験では、約50センチの氷の成長が確認されたという。しかし、ロンドン大学の研究者ジュリアン・ストロイヴ氏は、この手法について「必要なスケールでの実現性は極めて疑わしい」と述べ、長期的な環境影響にも疑問を呈している。
技術か暴走か、問われる人類の選択
気候変動対策としてのジオエンジニアリングは、ある種の“最後の手段”として語られてきた。だが、太陽光を遮断して地球を冷やすという発想は、あまりに根本的な自然操作であり、リスクも計り知れない。
現在進められているプロジェクトがどれだけ実現可能なのか、そして倫理的・生態系的な代償をどう評価すべきなのか——。
人類がこの技術にどこまで踏み込むか、その舵取りが世界規模で問われているのかもしれない。
参考:The Debrief、ほか
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2024.10.02 20:00心霊太陽光を遮断?英国の「謎多き政府機関」が“禁断のジオエンジニアリング計画”を推進──気候変動を救うか、破滅を招くか?のページです。イギリス、太陽光、ジオエンジニアリングなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで