世界中のWebサイトの20%が沈黙… Cloudflare大規模障害は“サイバー攻撃”だったのか?専門家が疑う不自然な公式発表

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「より良いインターネットを構築する」と豪語する企業にとって、それは屈辱的な失態だった。

 11月18日、全世界のウェブサイトの5分の1を支える巨大IT企業「Cloudflare」が、突如としてシステムダウン。X(旧Twitter)、ChatGPTSpotifyといった人気サービスから、ニューヨーク市の緊急事態管理局、フランス国鉄といった社会インフラに至るまで、世界中で大規模なインターネット障害が発生した。

 Cloudflareは、原因を「通常の構成変更のミス」だと説明し、「攻撃ではない」と断言した。しかし、30年の経験を持つサイバーセキュリティの専門家は、この公式発表に「非常に疑わしい。何かがおかしい」と、強い疑念を表明している。

インターネットの“門番”―Cloudflareとは何者か

 Cloudflareという社名は、一般にはあまり馴染みがないかもしれない。しかし、その影響力は絶大だ。彼らのサービスは、インターネットの世界における“門番”のような役割を果たしている。

 私たちがUberやZoomといったウェブサイトにアクセスする時、実は直接そのサイトに接続しているわけではない。まず世界330都市に設置されたCloudflareのデータセンターに接続し、そこから目的のサイトへと繋げられる。これにより、接続は高速化され、理論上はより安全になる。

 しかし、この“門番”という立場は、諸刃の剣だ。世界の商業、通信、そして接続性そのものに打撃を与えたいと考える者にとって、Cloudflareは極めて魅力的な攻撃対象となる。もしこの門番が倒れれば、その先にある無数の城(ウェブサイト)もまた、機能不全に陥るのだ。

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なぜ専門家は「サイバー攻撃」を疑うのか

 Cloudflareは、今回の障害を「通常の構成変更のミスが連鎖的な障害を引き起こした」と説明している。しかし、デジタル戦争の専門家であるジェームズ・ナイト氏は、英メディア「Daily Mail Online」に対し、この説明に懐疑的な見方を示した。

「これほどの巨大IT企業は、このような事態に備え、尋常ではない量の冗長性(バックアップシステム)を持っているはずだ」と彼は語る。いかなるアップデートも、本番環境に適用する前に、テストサイトで何度も試行されるのが通常であり、たった一つの「ミス」でシステム全体が崩壊することは、考えにくいというのだ。

 ナイト氏は、もしこれがサイバー攻撃だった場合、その犯人として、経済的な打撃を狙う中国や、ウクライナ情勢への報復を狙うロシアといった国家レベルのハッカー部隊の可能性を指摘する。

「動機は金か権力か。サイバー戦争部隊は、本当に、絶対に、信じられないほど強力だ」

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オンライン障害を監視するサイト「ダウンディテクター」によると、Cloudflareの不具合はX、Spotify、OpenAI、Uberなど多くのサービスに影響を与えた 画像は「Daily Mail Online」より

Amazonも…相次ぐ“偶然の”大規模障害

 この疑念をさらに深めているのが、9月に起きたAmazon Web Services(AWS)の大規模障害だ。この時もAmazonは、「システムのアップデートが原因の事故であり、サイバー攻撃ではない」と、今回と酷似した説明を行っている。

「最近、こういうことが多すぎる。Cloudflareでも、たった一つのミスでシステム全体がダウンした。私は、そこにパターンを見ている」とナイト氏は語る。

 彼は、米政府が国家安全保障上の理由から、企業に対してサイバー攻撃の事実を隠蔽するよう指示する可能性があることも示唆している。

インターネットという“砂上の楼閣”

 今回の障害発生後、SNSではある有名なミーム画像が拡散された。「インターネット全体」と書かれた不安定なブロックの山を、マッチ棒(Cloudflare)が支えているというものだ。

 この画像は、現代社会がいかに脆弱なデジタルインフラの上に成り立っているか、そして、そのインフラがごく少数の巨大企業によって支配されているという、不都合な真実を的確に表現している。

 Cloudflareの障害は、数時間で復旧した。しかし、ナイト氏は「Daily Mail Online」の取材に対し、「これで終わりではない」と警告する。私たちが依存するインターネットという巨大なシステムは、私たちが思っているよりもはるかに脆く、次なる“ブラックアウト”は、もうすぐそこまで迫っているのかもしれない。

参考:Daily Mail Online、ほか

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