宇宙はやはり「シミュレーション」だった!?重力=情報圧縮プログラム説

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 我々のこの宇宙はやはりコンピューターシミュレーションなのか――。専門家によれば重力が“シミュレーション仮説”を説明できるという。

■重力は宇宙の情報圧縮技術なのか?

 英ポーツマス大学の物理学者メルビン・ヴォプソン氏が今年4月に「AIP Advances」で発表した研究では、重力が「情報力学(infodynamics)」のエントロピーとして機能しており、この宇宙はある種のソフトウェアによって動いている可能性が示されている。やはりこの宇宙はコンピューターシミュレーションということなのか。

 数学者クロード・シャノンによって提唱された情報理論は、情報の定量化、保存、伝達を数学的に研究する学問であり、物理学においてますます幅広い研究分野で利用されており、2023年の研究でヴォプソン氏らは情報理論に基づく「情報力学第二法則」を提案している。

「情報力学第二法則」は、情報の“エントロピー”、つまり情報の無秩序度が、いかなる閉鎖情報システムにおいても減少するか、あるいは一定に保たれなければならないことを規定している。これは 物理的なエントロピー、つまり無秩序度は常に増加するという熱力学第二法則とは正反対の働きをしている。

 つまり情報の場合、均質化するほどエントロピーは低くなり、多様(無秩序)になるほどにエントロピーは高くなるのだ。低い状態から高い状態へと移行するエントロピーの法則は、情報においては時間経過とともに多様性を帯び情報量が増えてくることになる。

 この増え続ける情報をどうすればよいのか。

 コンピューターによる情報処理では、増えた情報を圧縮して扱いやすくしている。ではこの宇宙でも情報圧縮技術はあるのだろうか。

 粒子が空間にランダムに分布している場合、情報は非常に無秩序になり、粒子の動きを追跡するために必要な情報量は膨大になる。しかし宇宙において、惑星系、恒星系、銀河系のように、天体が重力によって密集すると、情報は圧縮され、より扱いやすくなる。

 ということは重力が情報処理技術であると考えれば、この宇宙が効率的に機能しているシステムであり、それはまさにコンピューターシミュレーションのようでもある。

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 無数の天体で構成されている銀河系は見た目上は単純に情報量が多いのだが、個々の天体の動きは重力に支配されており、その力学はむしろシンプルである。

 ヴォプソン氏の見解によれば、宇宙は自然に情報エントロピーが最大となる状態へと向かっており、それが「情報力学第二法則」である。

 そこからさらに一歩進み、情報ダイナミクスと重力を結びつけることで、宇宙はある種のソフトウェア、つまりはシミュレーションによって動いているという興味深い可能性が暗に示されてくるのだ。

 我々がシミュレーションの中で生きているという決定的な証拠はまだないのだが、しかしこのように深く観察すればするほど、宇宙はコンピュータープログラムのように振る舞っているように見えてもくる。重力が情報処理技術であるととらえ直すことで“シミュレーション仮説”が“仮説”ではなくなる日が近づいたのだろうか。

参考:「Science Alert」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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