専門家が予測する、2030年に本当に生まれているかもしれない“7つの奇妙な仕事”

「AIに仕事を奪われる」――そんな議論が絶えない昨今だが、逆の発想をしてみよう。人工知能(AI)が、これまで誰も想像すらしなかった全く新しい仕事を生み出すとしたら?
ビジネス専門家であり、オンラインマーケティングを行うProfit Engine社のCEOでもあるジェイソン・モリス氏は、「私たちはAIが単独でできることを過大評価し、AIが人々のために切り開く新しい機会を過小評価しがちです」と語る。
AIとの競争ではなく「協業」に焦点が当てられる未来。ここからは、モリス氏が予測する「2030年までに求人サイトに掲載されるかもしれない」、驚きの未来の仕事を7つ紹介しよう。
AIと人間の「心」をつなぐ仕事
1. バーチャルペット・セラピスト
AIを搭載したロボットペットやデジタルコンパニオンが、より本物らしく進化するにつれて、私たちがそこに感情的な愛着を抱くのは避けられない。バーチャルペット・セラピストは、飼い主がAIペットとの絆を健全に育む手助けをする専門家だ。しつけや行動の問題、さらにはソフトウェアのサービス終了に伴う「喪失感(グリーフ)」のケアまで、その役割は多岐にわたる。
「家族の誕生日や気分、習慣を何年も記憶してくれるAIペットを、単なるスマホの買い替えのように簡単には手放せないでしょう」とモリス氏は言う。この仕事には、心理学やカウンセリング、そして人間と機械の相互作用に関する深い理解が求められる。
2. AIアシステッド・ドリーム・インタープリター(夢分析家)
睡眠テクノロジーの進化により、AIは私たちの脳波を驚くほど詳細に分析できるようになるだろう。AIアシステッド・夢分析家は、AIが解析した脳のデータ(夢の内容)と、文化的・象徴的な知見(夢の意味)を組み合わせ、人々が自らの夢から意味を見出す手助けをする。
モリス氏は、「機械は脳波をグラフにできますが、そのイメージを文化的背景や個人の感情史、自己成長に結びつけることはできません。それは、深く人間的な役割なのです」と語る。
3. AIパーソナリティ・デザイナー
2030年、AIアバターはカスタマーサービスからデジタルコンパニオン、教師、さらには有名人の分身まで、あらゆる場所に存在するようになる。AIパーソナリティ・デザイナーは、これらのアバターが人間味のない存在ではなく、本物のように感じられるよう、感情表現や人々との繋がり方を設計する。Siriの次のレベルとして、ユーモアや個性、感情的知性を自然に表現するアバターを生み出す、心理学や言語学、キャラクター開発の手腕が問われる仕事だ。
デジタル社会の「倫理」と「秩序」を守る仕事
4. デジタルメモリー・キュレーター
私たちのパーソナルAIは、会話、写真、生体データ、果ては感情の状態まで、人生のすべてを記録するようになるだろう。デジタルメモリー・キュレーターは、その膨大な人生の記録(ライフログ)を整理・編集し、意味のある「デジタル遺産」として後世に残す、いわば人生の専門司書だ。
「単なるデータ整理屋ではありません。人々は、自分の人生の物語を語ってくれる誰かを求めるようになるでしょう」とモリス氏。記録保管の知識に加え、物語を紡ぐ能力、そしてデータ倫理が不可欠となる。
5. アルゴリズム・バイアス監査人
AIに潜む偏見は、すでに大きな問題となっているが、2030年には専門職として確立されるという。アルゴリズム・バイアス監査人は、企業や政府に雇われ、AIシステムに隠された偏見をテストし、人種や性別などによる不公平な扱いがないかを検証する。
「AI経済において、信頼こそが通貨です。医療や金融、司法を形作るアルゴリズムが信頼されなければ、システム全体が崩壊します」とモリス氏は警告する。統計学、法律、倫理、社会科学の知識が求められる重要な役割だ。

AIを文化とライフスタイルに融合させる仕事
6. 機械学習ソムリエ
ワイン産業のような伝統的な世界にもAIは進出する。機械学習ソムリエは、AIを訓練し、単なる味の化学反応だけでなく、個人の気分やストレスレベルといった生体データまで考慮して完璧なコーヒーやカクテルを提案させる専門家だ。人間の味覚は生物学的であると同時に感情的なもの。感覚的な知識とデータサイエンスを組み合わせ、おもてなしの心をAI時代へと導く。
7. バーチャル環境スタイリスト
メタバースや没入型のワークスペースが成熟するにつれ、AIが生成する仮想空間をデザインする専門家が求められるようになる。バーチャル環境スタイリストは、リモートワーカーのための落ち着いたデジタルガーデンから、教育やセラピーのための感動的な風景まで、あらゆる仮想環境を創造する。
モリス氏は、「2030年のAIが構築した環境に比べれば、今のZoom背景など原始的に見えるでしょう。感情に訴えかけるインテリジェントな空間をデザインできる人材の需要は、爆発的に高まります」と予測する。
AIが進化するほど、「人間らしさ」が価値を持つ
これらの未来の仕事は、一見するとSFのように聞こえるかもしれない。しかし、その根底には「AIは人間のスキルへの需要を増幅させる」という一つの真実がある。
「皮肉なことに、機械が賢くなればなるほど、私たちは倫理や想像力、感情的共鳴に根ざした『人間ならではの知性』を、より一層磨き上げる必要が出てくるのです」(モリス氏)
AI時代に本当に価値を持つのは、機械には真似できない「共感性」、AIの合成能力を超える「創造性」、そして何ができるかではなく何をすべきかを判断する「倫理観」。未来の職業図鑑は、テクノロジーの進化が、逆説的に“人間とは何か”を私たちに問いかけているのかもしれない。
参考:GQ South Africa、ほか
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