脳科学者が明かす「亡き夫と毎日対話する方法」その驚くべき手法と、科学が示す“心の罠”

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 愛する人を失った時、「もう一度だけでいいから話したい」と願うのは、ごく自然な感情だ。しかし、もしその願いが本当に叶うとしたら…?

 元医師であり、著名な神経科学者であるタラ・スワート博士が、「私は亡くなった夫と毎日コミュニケーションを取っています」と告白し、大きな波紋を広げている。科学の専門家が語るその驚くべき方法とは、一体どのようなものなのだろうか。

亡き夫からの「サイン」- 庭のコマドリと不思議な心霊体験

 スワート博士の夫、ロビン氏は白血病でこの世を去った。神経科学者であり精神科医でもある彼女でさえ、「完全に道を見失い、打ちのめされた」というほどの深い悲しみに襲われた。

 しかし、その悲しみの中で、不思議な出来事が起こり始める。

「窓の外を見ると、いつも庭にコマドリがいるんです。それ以前も以降も、人生であんなにたくさんのコマドリを見たことはありませんでした」

 そして、夫の死から約6週間後、彼女は決定的な体験をする。

「夜中、肩をものすごい力で叩かれて目が覚めました。ベッドの横を見ると、まるで水飴の中から押し出されるように、ぼんやりと霞んだロビンの姿が見えたのです。私は釘付けになりました。彼の髪や顔の輪郭がどんどん鮮明になっていきましたが、突然、頭のてっぺんから溶けるように消えてしまいました」

 これを夫からのメッセージだと確信したスワート博士は、霊媒師にも相談したが、その答えに満足することはできなかった。「もし死者との対話が可能なら、脳を最適化し、意識を拡張することを探求してきた私が、自分でできないはずがない」と、彼女は独自の交信方法を模索し始めた。

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画像は「Daily Mail Online」より

博士が実践する「交信術」- フェニックスとボタンの実験

 スワート博士が編み出したのは、言葉を交わすのではなく、特定の「サイン」を通じてコミュニケーションを取るという方法だ。

 まず彼女は、心の中で夫に「フェニックス(不死鳥)のサインを見せてほしい」と頼んだ。するとその後、旅行先で「フェニックス・ガーデン」という名のレストランを頻繁に見かけ、さらには搭乗予定だった飛行機が、予期せずアリゾナ州フェニックスを経由するルートに変更されたという。

 しかし、こうした体験は単なる偶然ではないのか? ポッドキャストの司会者スティーブン・バートレット氏が指摘するように、これらは心理学で説明がつく現象かもしれない。

それは本当に交信か? 心理学が示す「確証バイアス」という罠

 博士の体験は、確証バイアスという心理的な“罠”で説明できる可能性がある。確証バイアスとは、自分が信じていることを裏付ける情報ばかりに無意識に注意を向け、それに反する情報を無視してしまう心の働きだ。

 例えば、フェニックス空港はアメリカでも有数のハブ空港であり、毎日1000便以上が発着する。フライトがそこを経由することは統計的に何ら不思議ではない。しかし、「フェニックスのサインが欲しい」と願っている博士の脳は、このありふれた出来事を「夫からのメッセージ」だと特別に解釈してしまうのだ。

 さらに、特定のサインを探す行為は、「選択的注意」という脳の働きを活性化させる。これは、脳が無意識のうちに関連情報を探し始める機能で、「フェニックス」について考えていれば、街中の看板や会話の中に「フェニックス」という単語を普段より見つけやすくなる、という仕組みだ。

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Image by Ri Butov from Pixabay

科学とスピリチュアルの狭間で

 もちろん、スワート博士自身もこうした反論は想定している。彼女は、より厳密なテストとして、「明日午後11時までに、ボタンそのものか、ボタンの絵か、『ボタン』という単語を3回見る」といった非常に狭い条件を設定していると主張する。

 また、時には心の中に直接メッセージが届くこともあるが、主に「サイン」を通じて交信しているという。彼女は、人間が持つ五感を超えた「34の感覚」によって、これらの微細なサインを捉えることができると考えている。

 元精神科医として、かつては同様の体験を語る人々を強制的に入院させる立場にいたこともあるというスワート博士。「人々は、頭がおかしいと思われるのを恐れて、このような体験を語りたがらない。これはタブーなのです」と彼女は言う。

 科学者である彼女の主張は、脳科学や心理学の観点から見れば、説明可能な現象かもしれない。しかしそれは同時に、愛する人を失った深い悲しみと、それでもなお繋がりを求め続ける人間の切実な想いを映し出しているとも言えるだろう。

 彼女の体験は、科学とスピリチュアルが交差する、人間の心の奥深い謎を私たちに問いかけているのかもしれない。

参考:Daily Mail Online、ほか

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