地下世界への扉か? ― インカ帝国の封印された要塞「サクサイワマン」の秘密のトンネルが発見される

インカ帝国のかつての首都であり、「世界のへそ」と呼ばれたクスコ。その古代都市の最も不可解な謎は、地上ではなく、その足元に広がっている。
何世紀にもわたり、太陽の神殿「コリカンチャ」と、2km以上離れた巨大な要塞「サクサイワマン」とを結ぶ、秘密の地下トンネル「チンカナ」の存在が語り継がれてきた。
そして今、考古学者たちが、ついにその伝説の地下トンネルへの入口を発見したと主張し、考古学界に衝撃が走っている。
伝説の“蛇の口”と、生きては戻れぬ地下迷宮
16世紀の年代記には、すでにこの地下トンネルについての記述が存在する。1590年、修道士マルティン・デ・ムルアは、「蛇の口」の形をした入口から、この地下迷宮にアクセスできると記していた。
言い伝えによれば、「チンカナ」は単なる通路ではなかった。それは罠で守られた無限の回廊であり、多くの探検家たちが足を踏み入れ、二度と戻ってくることはなかったという。何ヶ月も地下を彷徨った末、黄金のトウモロコシを握りしめたまま、老衰した姿で発見された若者の話は、今も語り継がれている。
この地下トンネルは、インカの子孫たちが今も暮らし、母なる大地「パチャママ」と交信している、聖なる地下世界(インフラムンド)への入口だと信じられてきた。
考古学者が発見した“封印された扉”
そして2025年、サクサイワマンの発掘調査を指揮する考古学者ホルヘ・カレーロ氏が、ついに年代記に記された、あの謎めいた「蛇の口」を発見したと発表した。

「ここに蛇の頭がある」と、彼は彫刻が施された一つの石を指し示す。「目、顎の形が分かるだろう。おそらく植民地時代に、爆薬で破壊されたのだろう。口は潰れてしまっているが、入口は確かにここにある」
「我々はこの下を掘り進めた。これらの石の下には、小部屋が隠されている。洞窟の中の、さらなる洞窟だ」
19世紀、3人の若者がこのトンネルに迷い込み、戻らなかったことから、サン・ロマン将軍が入口を塞ぐよう命じたという記録も残っている。この封印された扉の向こうには、一体何が眠っているのだろうか。

星々と繋がる宇宙神殿
カレーロ氏によれば、「チンカナ」は単なる通路や防御用施設ではない。それは、春分・秋分や夏至・冬至の太陽の動きと正確に連携した、大地母神パチャママに捧げられた「女性的な神殿」であるという。
「その内部には、プレアデス星団やこと座、かんむり座といった星座が投影される“ステラリウム(プラネタリウムのようなもの)”が存在する」と彼は主張する。「星々が、まるで空間を受精させるかのように降り注ぐ。それは宇宙の豊穣のメタファーなのだ」

インカの人々にとって、天の川は彼らの聖なる川、ビルカノータ川が天に映し出された姿であった。彼らはそこに動物や神々、そして創造神ビラコチャの住処を見ていたのだ。
インカ、あるいはそれ以前の文明が築いたこの壮大な地下ネットワークは、単なる隠れ家や倉庫だったのか。それとも、禁じられた知識を守るための、聖なる宇宙神殿だったのか。
サクサイワマンで発見された「蛇の口」は、我々が知るインカ帝国の歴史を根底から覆す可能性を秘めている。その封印が完全に解かれる日、我々は、古代アンデスの人々が築いた、想像を絶する宇宙観を目の当たりにすることになるのかもしれない。
参考:Espacio Misterio、ほか
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2024.10.02 20:00心霊地下世界への扉か? ― インカ帝国の封印された要塞「サクサイワマン」の秘密のトンネルが発見されるのページです。インカ帝国、神殿、地下トンネルなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで