人類滅亡は“明日”かもしれない? ― 物理学者が95%の確率で導き出した『終末論法』の恐怖

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 物事には始めがあれば終わりもあるが、人の一生も誕生に始まり死去で終わる。では我々人類にも終わりがやって来るのだろうか。やって来るとすればいつなのか?

■人類の終焉は早ければ次の瞬間!?

 人類の終焉はいつやって来るのか――。

 この謎を物理学の観点から最初に指摘したのが天体物理学者のブランドン・カーター氏であったことから「カーター・カタストロフィー(Carter Catastrophe)」と一時期呼ばれ、後に「終末論法(Doomsday argument)」と定義された。

 アメリカの理論宇宙物理学者であるリチャード・ゴット氏は終末論法の研究を進め、人類の終焉の日を計算している。

 ゴット氏はこの世界に「特別な」観測者は存在しない、とする自然科学における根本的な仮説の一つである「コペルニクス原理(Copernican principle)」に基づき、人類の歴史において今の我々が平凡な存在であるとすると、我々は時間的にも空間的にも特別な領域にいるわけではないと定義した。

 全人類の数は有限であり、これまで生まれた人数とこれから生まれる人数の総数を数兆人程度とした。そして統計的に言えば現在の我々は人類史の始まりや終わりといった特別な瞬間にいるのではなく、その間のランダムな時点で生まれたと想定すべきであるとした。

 ゴット氏が1993年に「Mature」で発表した研究では、論理的に95%の確率で的中する事象の未来予測法が紹介されている。

「測定対象がt beginとt endsの間の区間でのみ観測できると仮定すると、もし現在に特別な点がなければ、t nowはこの区間内でランダムに位置すると予想されます」(論文より)

 そして次の方程式を提示している。

1/39 t past < t future < 39t past(信頼度95%)

 ゴット氏はこれまでに生まれた人間の推定数を用いて、これから(1993年時点)生まれる人間の総数を18億人から2兆7000億人の間であると推定した。そして世界の年間出生数を1億4500万人として計算したのだ。

 もしもこれから(1993年時点)生まれる人間の総数が最も少ない18億人であった場合、なんと12年先の2005年に人類はすでに滅亡していたかもしれない。ということは2025年を生きている我々は恐ろしいことに明日、いや1秒後に滅亡してもおかしくないことになる。

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 しかしその一方でこれから生まれる人間の総数が2兆7000億人だとすれば、このまま出生率が低下しない限り人類は最長で1万8600年先まで存続できることになる。

 人類の終焉は早ければ明日にでも、長ければ1万8600年先に訪れることが95%の確率で起きることになる。

 もちろんこの方程式は出生率、平均寿命などの要因の影響を受けており、より長い寿命を実現する医学の進歩や、逆に全面核戦争などのリスクが高まる可能性もある。

 加えてこの先の人類の進化として、機械と融合するトランスヒューマニズムの到来などによってもパラメーターは変動するだろう。ひとまず明日に人類が滅亡しないよう1日1日を大切にして生きていきたいものだ。

参考:「IFLScience」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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