人類は“次のステージ”へ… 遺伝子ではなく「文化」が進化を支配する? 驚くべき時代の幕開け

あなたの人生の成功を決めるのは、親から受け継いだ「遺伝子」だろうか。それとも、あなたが生まれ育った「国」や「文化」だろうか。メイン大学の研究者たちが発表した新たな研究は、この問いに衝撃的な答えを突きつける。現代において、我々人類の未来を形作っているのは、もはやDNAに刻まれた遺伝情報ではない。それは、私たちが共有する知識、アイデア、そしてテクノロジーといった「文化」そのものなのだ、と。
“文化の進化”は“遺伝子の進化”を凌駕する
進化とは、親から子へと受け継がれる遺伝的特徴を通じて、生物が長い時間をかけて環境に適応していく、緩やかなプロセスだ。例えば、人類が牛乳を消化できる「乳糖耐性」の遺伝子を獲得するには、数千年から数万年もの歳月を要した。
しかし、メイン大学のティモシー・ワーリング准教授らが提唱する新理論「ETII(継承と個性における進化的移行)」によれば、現代社会における「文化の進化」は、この遺伝子の進化をいとも簡単に凌駕してしまうという。
「眼鏡、ワクチン、食品安全システム…。これらはすべて、個人の遺伝子に対する自然淘汰を先取りする、グループレベルの文化システムだ」と、ワーリング准教授は語る。
現代医療や公衆衛生の進歩が、我々の寿命を飛躍的に延ばしたことは、どんな遺伝的変化よりも遥かに大きなインパクトを持っている。COVID-19のようなパンデミックに対し、数年でワクチンが開発され、数百万人の命を救えたのも、遺伝的な抵抗力が進化するのを待つより、遥かに速く、そして効果的な「文化の進化」の賜物だろう。
「超個体」へと向かう人類―“個”の時代の終わり?
この文化の進化は、個人ではなく「集団」によって担われる。ワーリング准教授は言う。「たった一人でコンピュータを創ることも、現代科学の知識を持つ医師になることもできない。それらは、精密さと正確さを達成するために、慎重に組織された専門家集団を必要とする」
彼は、この傾向がさらに加速すれば、人類社会は個々の人間を超えた、一つの巨大な生命体「超個体(Superorganism)」のようになっていくだろうと予測する。そうなれば、ノーベル賞のように個人の功績を称える文化は、やがて消えていくのかもしれない。
この「偉大なる進化的移行」は、250万年前に人類が霊長類から分岐して以来、ずっと続いてきた。しかし、グローバルな医療ネットワークやデジタルコミュニケーションといった現代のテクノロジーは、そのスピードをかつてないほど加速させているのだ。

スマホ依存は“退化”の兆候か?
もちろん、すべての文化の進化が、人類にとってプラスに働くわけではない。ワーリング准教授はその一例として「スマートフォンへの過度の依存」を挙げる。
文化の進化の鍵は、人々が顔を合わせて知識やアイデアを共有することにある。しかし、スマホ依存は、人々を社会から孤立させ、この最も重要な学習機会を奪ってしまう可能性がある。
「進化は完璧ではない。常に適応的であるとは限らず、常に素晴らしい結果を生むわけでもない」と彼は言う。文化の進化が我々をどこへ導こうとしているのかを理解し、その進路を自らの手で修正していくこと。それが、この加速の時代を生きる我々に、課せられた課題なのかもしれない。
遺伝子による緩やかな進化の時代は、終わりを告げたのだろうか。今、我々は、文化とテクノロジーが織りなす、予測不能で、そして急進的な進化の真っ只中にいる。その先に待っているのが、絶滅レベルの危機を乗り越える「超個体」としての輝かしい未来なのか、それともスマホ画面の向こう側に広がる、孤独な“退化”なのか。その答えは、まだ誰にもわからない。
参考:Daily Mail Online、ほか
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2024.10.02 20:00心霊人類は“次のステージ”へ… 遺伝子ではなく「文化」が進化を支配する? 驚くべき時代の幕開けのページです。依存、遺伝子、進化などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで