2032年と2036年、地球は“火球の群れ”に襲われる? 美しい「おうし座流星群」に潜む“共鳴クラスター”の脅威

毎年秋、エンケ彗星が残した塵の中を地球が通過する時、私たちの夜空は「おうし座流星群」として知られる美しい火球のショーで彩られる。数年に一度、その輝きは一層増し、天体ファンを魅了する。
 しかし、この穏やかな天体ショーが、将来、地球にとって深刻な脅威となりうることを警告する新たな研究が発表された。科学者たちが懸念しているのは、木星の重力によって形成された、高密度の「流星群の群れ」の存在だ。そして、その脅威が現実のものとなるかもしれない運命の年が、2032年と2036年に迫っているという。
脅威の正体―木星の重力が作り出す「共鳴群」とは
おうし座流星群は、もともとエンケ彗星が軌道上に残していった塵や岩石の帯だ。通常、これらは広範囲に拡散しているため、地球に大きな危険はない。しかし、今回の研究が指摘するのは、これまでの常識を覆す「共鳴群(resonant swarm)」と呼ばれる、密集した破片クラスターの存在である。
この理論によれば、木星の強大な重力がエンケ彗星の塵の軌道に影響を与えているという。木星が太陽を2周する間に、流星群の塵は7周する。この周期的な接近により、木星の重力は塵を特定の場所に引き寄せ、まるで羊飼いが羊の群れをまとめるかのように、高密度の“弾丸の群れ”のようなものを形成する可能性があるのだ。
 この「共鳴群」はまだ理論上の存在だが、研究チームは、過去に明るい火球が観測されたタイミングや、月面への衝突による地震波の記録が、この理論の予測と一致することを指摘しており、その実在は決して絵空事ではないのかもしれない。

運命の年―なぜ2032年と2036年が危険なのか
研究チームの惑星防衛モデリングによれば、この理論上の「共鳴群」が、2032年と2036年に地球の軌道に極めて接近すると予測されている。
もしこの高密度の群れが実在し、地球の進路上に現れた場合、何が起こるのか。研究者たちが特に懸念しているのは、「エアバースト」を引き起こすサイズの天体との衝突リスクの増大だ。エアバーストとは、隕石が地表に到達する前に大気圏で爆発する現象で、比較的小さな天体でも、その衝撃波は広範囲に甚大な被害をもたらす可能性がある。
 今回の研究は、共鳴群との遭遇によって、このエアバースト級の地球近傍物体(NEO)との衝突リスクが、これまで考えられていたよりも高まる可能性があると警告しているのだ。

パニックは不要―科学者たちが描く未来への備え
しかし、今すぐパニックに陥る必要はない。この脅威が現実のものとなる可能性がある日までには、まだ十分な時間的猶予がある。
研究を主導するニューメキシコ大学のマーク・ボスロー氏は、「私たちは、2032年と2036年の接近時に、既存の望遠鏡を使って空を観測し、この仮説上の群れの存在を検証する技術を持っています」と語る。
もし危険な天体のクラスターが発見されたとしても、十分な時間があれば、その脅威を軽減、あるいは回避するための対策を講じることも可能だという。ボスロー氏は、「全体的な衝突確率は依然として極めて低い」と強調しつつも、備えの重要性を説く。
美しい流星群の裏に潜む、わずかながらも無視できないリスク。科学者たちは、夜空のロマンに目を奪われるだけでなく、その先に潜む脅威にも冷静な視線を向け、私たちの未来を守るための準備を進めている。
美しさと危険は、いつの時代も隣り合わせだ。秋の夜空に輝く一筋の光もまた例外ではないのかもしれない。
参考:Gizmodo、ほか
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2024.10.02 20:00心霊2032年と2036年、地球は“火球の群れ”に襲われる? 美しい「おうし座流星群」に潜む“共鳴クラスター”の脅威のページです。彗星、火球、おうし座流星群などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで