映画よりヤバい「リアル美術品強盗」衝撃の結末5選!FBI完敗、マフィア暗躍、名画は灰に…

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 白昼堂々、名画が壁から消える。警官になりすました強盗、銃を突きつけ闊歩する犯人たち。まるで映画のような大胆不敵な美術品強盗は、フィクションの世界だけの話ではない。

 人類の至宝を狙う窃盗犯たちは、時に我々の想像を絶する手口で歴史にその名を刻んできた。その多くは悲惨な結末を迎えるが、中には一欠片の証拠も残さず、数億ドルの絵画と共に闇に消えた者たちもいる。ここでは、歴史上最もドラマチックで、衝撃的な結末を迎えた5つの美術品盗難事件を紹介しよう。

1. 史上最大の謎―5億ドルが消えたガードナー美術館事件(1990年)

 1990年3月18日、深夜1時過ぎ。ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に、警官を名乗る2人組の男が現れた。「騒ぎの通報があった」という男たちを警備員が中に入れると、事態は一変する。男たちは警備員を拘束し、その後1時間以上にわたって館内を闊歩。レンブラントやマネ、そして史上最も価値ある絵画の一つ、フェルメールの『合奏』(英語: The Concert)』(推定価値2億5000万ドル)を含む13点の名画を強奪した。

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『合奏』(英語: The Concert) ヨハネス・フェルメール – 不明, パブリック・ドメイン, リンクによる

 被害総額は、個人資産の盗難事件としては史上最高の5億ドル(現在の価値で約750億円)。FBIが総力を挙げて捜査にあたったが、現場には驚くほど物的な証拠が残されていなかった。

 事件から4年後、美術館に匿名の犯行グループから「260万ドルで絵画を返す」という手紙が届くが、交渉は決裂。それ以降、犯人の足取りは完全に途絶えた。今日に至るまで、犯人は一人も逮捕されておらず、盗まれた名画の行方も全く分かっていない。美術館では今も、盗まれた場所に空の額縁が飾られ、1000万ドルの懸賞金と共に、傑作たちの帰りを静かに待ち続けている。

2. 愛国心か、金か?―世界を欺いたモナ・リザ盗難事件(1911年)

 1911年8月21日の朝、ルーヴル美術館の職員だったイタリア人、ヴィンチェンツォ・ペルージャは、歴史上最も有名な絵画強盗をやってのけた。彼は職員用の入口から館内に忍び込み、警備が手薄になるのを待って、ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』を壁から取り外したのだ。そして、絵画を保護用の毛布に包み、何食わぬ顔で美術館を後にした。

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レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452–1519)|出典:Wikimedia Commons(パブリック・ドメイン)

 驚くべきことに、当時『モナ・リザ』は美術界の外ではほとんど無名であり、盗難が発覚するまでに丸一日以上かかった。事態を把握した美術館は大混乱に陥り、国際的な大捜索が開始。かのパブロ・ピカソさえもが容疑者として尋問された。

 しかし、傑作は2年以上もの間、ペルージャのパリのアパートにひっそりと隠されていた。捜査の熱が冷めたと判断した彼は、1913年にフィレンツェの画商に絵画を売ろうと試みる。しかし、これが仇となった。通報を受けた警察に、彼はあっけなく逮捕された。

 法廷でペルージャは、「イタリアの至宝を正当な故郷に取り戻すための愛国的な犯行だった」と主張。この言葉がイタリア国民の心を掴み、彼は一躍、愛国的な英雄となった。結果として、彼に下された判決は、わずか1年余りの懲役という極めて寛大なものだった。

3. 白昼の武装強盗―衆人環視で奪われたムンクの『叫び』(2004年)

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『叫び』エドヴァルド・ムンク|出典:Wikimedia Commons(パブリック・ドメイン)

 2004年8月22日、ノルウェー・オスロのムンク美術館。開館中の館内に、覆面をかぶった2人組の男が銃を持って押し入った。彼らは来館者と職員を威嚇しながら、一直線に展示室へ。そして、衆人環視の中、エドヴァルド・ムンクの象徴的な作品『叫び』と『マドンナ』を壁から乱暴に引き剥がし、待たせていた車で逃走した。

 白昼堂々のあまりに大胆な犯行に、美術館はセキュリティを全面的に見直すため、1年近く閉鎖を余儀なくされた。2年後、犯人グループは逮捕されたが、絵画の行方は依然として不明だった。しかしその数ヶ月後、警察は奇跡的に2枚の絵画を発見。驚くことに、ほとんど損傷はなかったという。

4. 悲劇の結末―母親が暖炉で燃やしたピカソとモネ(2012年)

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クンストハル美術館外観 Wikifrits投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる

 2012年10月16日、深夜3時。オランダ・ロッテルダムのクンストハル美術館に侵入した窃盗団は、わずか3分足らずで、ピカソ、モネ、ゴーギャン、マティスなど、7点もの近代絵画の傑作を盗み出した。被害総額は、合法的にオークションに出せば1億ドル(約150億円)は下らないとされた。

 犯人はルーマニア人の窃盗グループ。彼らは買い手を見つけられず、鑑定を依頼したことで足がついた。主犯格の男が逮捕されると、事態は最悪の結末を迎える。主犯の母親が、息子の罪の証拠を隠滅するため、「盗まれた絵画をすべて自宅の暖炉で燃やした」と衝撃の供述をしたのだ。

 彼女は後にこの供述を撤回したが、暖炉の灰からは絵画の釘や、油絵の具の痕跡が発見された。人類の至宝は、おそらく永遠に失われてしまったのだ。

5. マフィアの隠れ家から奇跡の発見―ゴッホ美術館盗難事件(2002年)

 2002年12月7日、未明。アムステルダムのゴッホ美術館に、はしごを使って屋根から2人組の男が侵入。わずか5分で、ゴッホ初期の傑作『スヘフェニンゲンの海の眺め』と『ヌエネンの教会から出る人々』の2点を盗み出した。

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『スヘフェニンゲンの海の眺め』フィンセント・ファン・ゴッホ – Copied from an art book, パブリック・ドメイン, リンクによる
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『ヌエネンの教会から出る人々』By Vincent van Gogh – Copied from an art book, Public Domain, Link

 現場に残された帽子からDNAが検出され、犯人は「猿」の異名を持つ男、オクターヴ・ダラムだと特定された。彼らは逮捕され有罪判決を受けたが、絵画の行方は分からず、誰もが絶望視していた。

 しかし14年後の2016年、物語は奇跡的な展開を見せる。イタリア警察が、ナポリを拠点とするマフィア「カモッラ」の幹部の家を家宅捜索した際、隠し部屋の壁の中から、2枚の絵画が奇跡的に発見されたのだ。傑作たちは、14年ぶりに無事、故郷の美術館へと帰還を果たした。


 ある者は“世紀の怪盗”として伝説になり、ある者は“ただの破壊者”として歴史から消える。その運命を分けるのは、計画の巧みさか、それとも単なる偶然なのだろうか。

参考:MENTAL FLOSS、ほか

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