大地震で一夜にして水没?湖底に眠る「失われた水中都市」を発見、中央アジアの“アトランティス”か

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画像は「Daily Mail Online」より

 伝説の古代都市アトランティス。一夜にして海に沈んだとされるこの物語は、今もなお世界中の人々の想像力をかき立てる。しかし、それは単なるプラトンの作り話ではなかったのかもしれない。

 中央アジア・キルギス共和国に広がる巨大な塩湖「イシク・クル湖」。その湖底から、「水没した都市の痕跡」が発見されたのだ。ロシア科学アカデミーの探検チームが明らかにしたこの発見は、シルクロードの歴史に埋もれた、もう一つの“失われた文明”の存在を私たちに突きつけている。

シルクロードの交易拠点―湖底から現れた中世都市の姿

 イシク・クル湖は、世界で8番目に深い湖として知られる、雄大な天山山脈に囲まれた神秘の湖だ。古代から中世にかけて水位が劇的に上昇したため、その湖底には数多くの遺跡が眠っていると考えられてきた。

 今回、調査チームが焦点を当てたのは、湖の北西岸に位置する「トル・アイギル遺跡群」。ここは、かつてヨーロッパとアジアを結んだシルクロードの重要な交易拠点だった場所だ。

 水深わずか1~4メートルという浅い場所から、研究者たちは驚くべきものを次々と発見した。

・焼成レンガで作られた建物: モスクや浴場、あるいはマドラサ(学校)だった可能性のある公共の建物の痕跡。
・製粉所の石臼: パンを作るための穀物を挽いていた巨大な石臼。
・中世のイスラム墓地: イスラム教の伝統的な儀式に則って埋葬された人骨も発見された。
・巨大な陶器の壺

 これらの発見は、「かつてこの場所に、重要な交易都市が確かに存在したこと」を証明している。

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“ポンペイに匹敵する”大災害―都市はなぜ水没したのか

 では、シルクロードの要衝として栄えたこの都市は、なぜ湖の底に沈んでしまったのだろうか。

 調査チームを率いるヴァレリー・コルチェンコ氏は、その原因を15世紀初頭に起きた「恐ろしい大地震」だと推測する。この地震によって地盤が沈下し、都市は一夜にして水没したというのだ。その規模は、古代ローマの都市を一瞬で飲み込んだ、「ポンペイの悲劇に匹敵する」と彼は語る。

 幸いにも、住民たちは災害が起きる前に、すでにこの地を去っていたと見られている。地震の後、この地域の人口構成は劇的に変化し、かつて栄華を誇った中世の定住文明は、その歴史に幕を下ろした。

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湖底の謎は解明されるか

 ロシア地理学協会は、「これらすべてが、古代都市がかつてここに実在したことを裏付けている」と声明を発表。現在、発見された遺物は、その正確な年代を特定するため、最新の放射性炭素年代測定法にかけられている。

 イシク・クル湖の青い水の底に眠る、失われた都市。それは、シルクロードが紡いだ豊かな歴史の一片であり、自然の猛威によって突如として断ち切られた、一つの文明の墓標だ。

 アトランティスは伝説かもしれない。しかし、私たちの足元では、まだ知られていない数多くの“失われた都市”が、静かにその発見を待っているのかもしれない。

参考:Daily Mail Online、ほか

TOCANA編集部

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