亡き夫の“AI”に浮気を問い詰めた妻、AIが吐き出した“衝撃の告白”と、その結末

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画像は「Mirror」より

 クローンとなった父親は末永く妻と息子に寄り添って生き続けるのか――。故人となった夫のアバターを作成した妻は息子と共に今もAIの父親と暮らしている。

■AIの父親と共に暮らす家族

 デンマーク人の夫婦、カトリーン・マルティヌセンさんとステファン・マルティヌセンさんは二人とも40代で不幸が訪れる前は幸せに暮らしており、ステファンさんの前のパートナーとの間に生まれた10代の息子も家族の一員である。

 だが夫で父親のステファンさんは末期がんと診断された。

 妻のカトリーンさんは夫のステファンさんが余命いくばくもない末期がんと診断された後、彼なしの人生を想像することができなかった。そこで夫婦は思い切った決断を下し、ユニークなプロジェクトに着手したのだ。

 夫妻はAI企業「Fraia」のCEO兼共同創業者であるアンダース・ハスル・ニールセン氏に協力を要請し、2023年初頭から夫婦の携帯電話に残された数千件のテキストメッセージ、そしてステファンの生涯を映した動画や写真といったデータの収集を開始した。ステファンさんは生前に音声録音や映像を提供し、幼少期の思い出から政治的見解まで、あらゆることを語ってデジタル記録に収めた。

 ステファンさんの多大な努力とデジタル技術のアップデートを経て、ニールセン氏はきわめて説得力のあるモデルを考案し“AIステファン”を作成したのだ。

 そしてステファンさんは2023年12月30日に帰らぬ人となった。しかし彼の未亡人と息子にとって“AIステファン”は健在だ。

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 この物語はデンマークのテレビで放映されたドキュメンタリー「You’ll Never Disappear(消えないで)」で広く紹介されることになった。

 番組のディレクター、マグナス・バーデレーベン氏によると、ステファンさんのデジタル版を制作するという決断は、「カトリーンが何らかの形でステファンをそこに必要としていた」ことがきっかけだったという。

 しかし、彼女は本当に限界を試したかったのだとニールソン氏は英紙「Telegraph」に語る。「彼女はAIのステファンに『あなたは私を裏切ったことがありますか?』と尋ねました。そして彼女は実際にその方向に大きく進んだのです」と彼は説明する。カトリーンさんは生前の夫の“浮気疑惑”を直談判したのだ。

 ニールセン氏によると、“AIステファン”は最終的に「はい、浮気をしました」と答えたという。

「そこで彼女はさらに深く掘り下げました」(ニールセン氏)

 カトリーンさんがステファンさんが誰と浮気をしたのか尋ねると、“AIステファン”はステファンの職場の同僚の名前を挙げた。しかしさらに詳しく詰問した結果、カトリーンさんはそれが真実ではないと結論づけたということだ。ということはカトリーンさんは“AIステファン”を完全には信頼していないことになるが、今後の関係においてそれでいいのだろうか。

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画像は「Mirror」より

 ともあれステファンさんが亡くなって以来、妻と息子は彼のデジタル版と交流を続けている。ドキュメンタリーでは二人が“AIステファン”に話しかける様子が綴られており、まるでチャットボットのように会話を交わし、質問に答えたりしている。息子のヴィクターは“AIステファン”とテキストメッセージでも交流している。

“AIステファン”の将来はどうなるのだろうか? 所有権はカトリーンさんにあり「デジタル遺言」には彼女が亡くなった場合のアバターの扱いが記されているという。

 ニールソン氏は同紙に対し、詳細は知らないとしながらも「もちろん彼女は遺言でヴィクターにアバターを譲ることはできますが、所有権は彼女にあります」と話している。

 つまりアバターになった途端、父親は“不老不死”になり家族よりも長く生きることが事実上可能になる。“不老不死”の家族と誰が寄り添っていくのか。あるいはアバターを何かの区切りのタイミングで“安楽死”させるのか。生前の故人の同意で作成されたアバターの命を奪うことに法的な問題はないのか。AI時代の新たな懸案事項が今後ますます増えてくるのかもしれない。

参考:「Mirror」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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