メタバースでセクハラが横行か!? VR空間で悪質事件連発、メタ社の対応に非難の声

 12月中旬、メタ社(旧フェイスブック社)は、ソーシャルメディア・プラットフォーム「Horizon Worlds」へのアクセスを開始した。

「Horizon Worlds」では、一度に最大20人のアバターが集まり、仮想空間内を探索・構築することができる。メタ社は、ビデオゲームの「Minecraft」を引き合いに出し、楽しくて、より健康的な世界を描いて見せた。しかしその世界は、メタ社が説明するようにすべてが優しく、ふんわりとしているわけではなかった――。

■バーチャル空間で起きた“残念な事件”

 11月、メタ社は「Horizon Worlds」のベータテスターの女性から「見知らぬ人に触られた」というハラスメント報告を受けたことを公表した。

 事態を内部検討したメタ社は、この女性ベータテスターは「Horizon Worlds」に組み込まれている「セーフゾーン」と呼ばれる安全機能ツールを使用する必要があったという結論を得た。セーフゾーンは、ユーザーが脅威を感じた時にアクティブにできる、いわゆる“保護カプセル”である。その中にいる限り、セーフゾーンを解除したいという合図が出るまで、誰もその人物に触れたり、話したり、交流したりすることができなくなる。

メタバースでセクハラが横行か!? VR空間で悪質事件連発、メタ社の対応に非難の声の画像1
「MIT Technology Review」の記事より

「Horizon Worlds」副社長であるビベック・シャルマは、この件について「全く残念な事件だ」と述べ、IT系ニュースサイト「The Verge」に、「とはいえ、ブロック機能を簡単で見つけやすくする必要があることが分かったので、私たちにとって良いフィードバックです」と語った。

 しかしユーザーがバーチャル・リアリティーで触られたことは、今回が初めてではなく、残念ながら最後でもないだろう。

 バーチャル・リアリティーと人間の運動機能を結びつける企業「VRInstitute for Health and Exercise」を率いるアーロン・スタントンが、メタでの「事件」について耳にした時、彼の記憶は一気に2016年10月へと戻された。

 2016年、ゲーマーのジョーダン・ベラミアが、(スタントンが共同設計した)弓と矢を装備したプレーヤーがゾンビを撃つゲーム「Quivr」をプレイ中、「見知らぬ人に触られた」と電子出版プラットフォームの「Medium」に投稿したことがあった。

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「Medium」の記事より

「Quivr」での経験を、べラミアはこう書いていた。

「マルチプレイヤーモードに入った時、お互いの声を聞くことができる状態だったので、他のプレイヤーは私が女性であると認識できたはずです。私は、BigBro442という名前のプレイヤーと一緒に、ゾンビを撃墜していました。すると突然、BigBro442のヘルメットが私に真っ向から向きあい、彼の浮かんだ手が私の体に近づき、彼は私の胸をこすり始めました。『止めなさい!』と私は叫びました」(ジョーダン・ベラミア)

 ベラミアはBigBro442に背を向けたが、彼は追いかけてきて彼女のアバターの胸の近くをつかんでつまむ動きをした。その後、さらに大胆になり、BigBro442はベラミアのアバターの股間に手を押し付け、こすり始めた。

 その投稿を読んだスタントンと、もう一人の共同創設者ジョナサン・シェンカーは、すぐに謝罪し、アバターに特定の動きをさせると、違反者を自動的に押しのけられる修正を行ったという。しかしスタントンはその後、修正された機能に関するデータを追跡しなかったと述べ、「あまり使われなかったはずだ」と話した。

 しかし今回、スタントンは「Horizon Worlds」で発生した事件を防ぐために、2016年にもっと多くのことができたのではないかと考えている。

■「セクハラは必ずしも肉体的なものではない」

 仮想現実の社会的影響を研究しているオハイオ州立大学のジェシー・フォックス准教授は、「セクハラがいつも肉体的なものであるとは限らないということを、人々は心に留めておくべきだと思います」と述べ、「それは言葉である可能性もあり、またバーチャル・リアリティーでも起こり得ることです」と指摘する。

 ワシントン大学でオンラインハラスメントについて研究しているキャサリン・クロスは、仮想現実が没入型かつ現実的である場合、そこで発生した有害な行動もまた現実的なものだと言う。

 そして「結局、バーチャル・リアリティー空間の性質は、ユーザーを騙し、物理的に特定の空間にいると思い込ませ、すべての身体的行動が3D環境で発生していると思わせるように設計されている」と述べる。それこそがバーチャル・リアリティー空間において感情的な反応が強くなる理由の一つであり、人間に現実と同じ内部神経系と心理的反応を引き起こす理由の一部なのだと説明した。

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