子供が「スレンダーマン恐怖症」を発症 都市伝説が現実に!
12歳の子供がVRでスレンダーマンを見たことで恐怖症を発症してしまったという。
スレンダーマンはその名の通り細身で異常に背の高い男で、主に子供をストーキングして連れ去ってしまうとされるモンスターだ。2009年頃にインターネット上で生まれた都市伝説であるが、アメリカでは過去にスレンダーマンが原因で悲惨な殺人未遂事件が起こったこともあるほど子供たちの間で広く知られ、恐れられている。スレンダーマンの最も不気味な点は、インターネット上で作られたジョークでありながら、その姿を見たという目撃証言が相次ぎ、写真や動画までもが撮影されているという不可思議な現象である。
VR(仮想現実)はご存じの通り、ユーザーの五感を含む感覚を刺激することにより工学的に現実に近い体験を生み出す技術のことだ。一般的にはVRゴーグルやヘッドセットを装着し、デジタル空間に没入する。
「Futurism」(10月15日付)によると、ある12歳の少女はYouTubeのスレンダーマンの動画を定期的に問題なく見ていたが、VRに切り替えて以来、スレンダーマンが現実に現れて襲ってくることに恐怖を感じるようになったと「Slate」誌に話したという。少女は「眠れない」とも話しているとのことだ。
VRがもたらす強烈なリアリティには負の面も存在するようだ。恐怖を与える対象と同じ世界に居合わせることで、鑑賞者ではなく体験者になってしまうと、自分が安全な世界にいるという感覚が希薄になってしまう。VRと恐怖は相性が良いらしく、VRを用いたホラーアトラクションは多い。
仮想現実や複合現実に関する既存の研究によると、VR環境でのトラウマや虐待の体験は、他のデジタル環境での体験よりもはるかにダメージが大きく、適切な保護措置を講じなければ、VRは私たちの生活に危険な存在となり得るという。
米テキサス大学オースティン校のVR専門家ジャッキー・ベイリー氏は、スレンダーマンの恐ろしい映像であろうと、広告であろうと、仮想世界で過ごすことによる人間への影響は深刻なものであり、Facebookが推進しているVRやARによる仮想交流プラットフォーム「メタバース」もFacebookに主導権を渡すのではなく、どのような仮想世界を私たち自身が欲するのかはっきりと方向を定めるべきだと指摘している。
SNSが便利でありつつも山のように問題を生み出したように、メタバースも新たな犯罪やトラウマの温床になっていくかもしれない。
参考:「Futurism」、ほか
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