レオナルド・ダ・ヴィンチのDNAを採取に成功か。「万能の天才」を生んだ遺伝子の秘密がついに解明される?

「万能の天才」と称されるレオナルド・ダ・ヴィンチのDNAの採取に成功か――。その天賦の才の秘密に迫れるかもしれない研究が発表されている。
■ダ・ヴィンチのスケッチ画からDNAを採取
米ロックフェラー大学をはじめとする国際的な合同研究チームが今年1月6日に「bioRxiv」に投稿した研究論文では、ルネッサンス時代のスケッチ画からレオナルド・ダ・ヴィンチのDNAを初めて採取した可能性が示唆されている。
ダ・ヴィンチが描いたともいわれている「幼子イエス(Holy Child)」と呼ばれる赤チョークのスケッチ画から採取されたDNAは、レオナルド・ダ・ヴィンチの祖父アントニオ・ダ・ヴィンチの従兄弟であるフロシーノ・ディ・セル・ジョヴァンニ・ダ・ヴィンチが1400年代に書いた手紙から回収された遺伝物質との類似性を示している。

具体的には、この絵と手紙にはレオナルド・ダ・ヴィンチが生まれたトスカーナ地方を共通の祖先とするハプログループ(遺伝的系統)のY染色体配列が一致している。とすれはこのDNAがダ・ヴィンチのものである可能性はじゅうぶんにあるのだ。
しかし一部の専門家はダ・ヴィンチ自身が「幼子イエス」を描いたのではなく、彼の弟子の一人がスケッチを描いたと考えている。
こうしたことからこの絵のDNAがダ・ヴィンチのものかどうかの判断は保留されており、このDNAは弟子のDNAである可能性もあれば、長年この絵を扱ってきたトスカーナ出身の複数の学芸員のDNAである可能性もある。
それでも研究者たちはダ・ヴィンチのDNAを復元し、彼の作品の真贋を鑑定したいと考えている。専門家の中にはダ・ヴィンチのDNAが、彼の並外れた芸術的才能や、通常よりも優れた視力といったほかの能力の生物学的根拠を解明する可能性があると示唆する者もいる。
ダ・ヴィンチのDNAの特定には多くの障害が立ちはだかっている。例えば、フランスにあるダ・ヴィンチの墓はフランス革命中に部分的に破壊され、アンボロワーズのサン・チュベール礼拝堂にある新たな埋葬地への移送中に遺骨は失われたか、少なくともほかの遺骨と混ざってしまったといわれている。
この墓にはダ・ヴィンチのDNAを豊富に含んだ骨が含まれている可能性があるにもかかわらず、信頼できる比較サンプルがどこか別の場所で見つかるまでは、研究者は墓から遺伝物質の配列を調べることが許可されないという。
このため科学者たちはダ・ヴィンチの作品からDNAを抽出せざるを得なくなっている。「幼子イエス」は、レオナルド・ダ・ヴィンチのものとされる作品の中で、現在までにヒトDNAが検出された唯一の作品だが、その持ち主については議論が続いている。

希望の持てる選択肢の一つは、ダ・ヴィンチのほかの男性親族を探し、「幼子イエス」のY染色体配列と比較することだ。研究者たちは現在、イタリアにあるレオナルドの祖父アントニオ・ダ・ヴィンチが埋葬されている一族の墓所から発見された3本の骨を分析しており、生存が確認されている子孫からもDNAを採取している。また1863年にアンボロワーズで発掘されたレオナルド・ダ・ヴィンチの髭由来と思われる毛髪のDNA配列も解析中だと「Science」誌は報じている。
さらに研究チームは、ダ・ヴィンチのDNAが保存されている可能性のある、男性の親族によって書かれた手紙やそのほかの文書を探している。フロシーノ・ディ・セル・ジョヴァンニ・ダ・ヴィンチからの手紙は、そのような遺物の一つだ。
今回の研究では、科学者たちは手紙のDNAを、Y染色体の配列をハプログループと呼ばれる系統に分ける約9万の既知のマーカーと比較した。手紙と「幼子イエス」のスケッチに含まれていたY染色体DNAは、ハプログループ「E1b1b」に属していた。これはレオナルド・ダ・ヴィンチとその親族が属していた可能性があるグループである。
研究著者らは現在、入手可能なさまざまな手がかりに基づいて研究を進めている。ダ・ヴィンチのDNAが特定される日は近いのだろうか。さらなる研究の進展に期待したい。
参考:「Live Science」、「Daily Mail」ほか
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