「UFOは馬鹿げた話だ」と断言した天文学者が17年の政府調査で信念を覆すまで
「UFOは馬鹿げた話だ」と断言した天文学者が17年の政府調査で信念を覆すまで

UFO史上、これほど劇的な「転向」を遂げた人物はいないかもしれない。J・アレン・ハイネクは、かつて「UFO目撃なんて馬鹿げた話だ」と公言していた天文学者だ。ところが彼はのちに、「クロースエンカウンター(接近遭遇)」という概念を世界に広め、UFO研究の礎を築く存在となった。その背景には、米空軍が運営したUFO調査機関「プロジェクト・ブルーブック」での17年間がある。
懐疑論者を軍が招いた理由
ヨゼフ・アレン・ハイネクは1910年、シカゴ生まれ。シカゴ大学で天文学の博士号を取得した正統派の科学者だ。1947年、米空軍はUFO目撃情報が急増したことを受け、調査機関「プロジェクト・サイン」を設置し、ハイネクを科学顧問として招聘した。

なぜ懐疑論者をあえて呼んだのか。答えは単純だ。「否定のお墨付きを与えてくれる科学者」が必要だったからである。1948年、ハイネクは報告書の中でUFO目撃について「まったくもって馬鹿げた話であり、一過性のブームに過ぎない」と断言した。軍にとっては都合のいい結論だった。プロジェクト・サインはやがて「プロジェクト・グラッジ」へ、そして1952年には「プロジェクト・ブルーブック」へと引き継がれ、ハイネクは一貫して顧問の座に居続けた。
プロジェクト・ブルーブックは1969年の終了までに1万2618件もの目撃報告を収集し、そのほとんどを気象現象・航空機・天体・誤認と結論づけた。ハイネクはその「科学的説明」に権威を与える役割を担っていた。しかし現場でじかに証人たちと向き合ううちに、その見方は少しずつ揺らぎ始める。
「沼ガス」炎上事件と内なる疑念
ファイルを読むのと、実際の証人と向き合うのとではまるで違う。ハイネクがのちに語ったこの一言が、彼の変化を端的に表している。現場調査を重ねるうち、ハイネクは目撃者たちの「質」に気づき始めた。報告を寄せてきたのは妄想癖のある変人などではなく、軍のパイロット、警察官、地域の一般市民だった。「こんなにまともな人たちが、こんなにも同じことを言っている」——その事実が、彼の常識をじわじわと侵食した。
1966年、ミシガン州で大規模なUFO目撃騒動が起きた。ハイネクが提示した説明は「湿地帯から発生するメタンガスが光って見えた可能性がある」というものだった。いわゆる「スワンプガス(沼ガス)」理論だ。これが猛批判を浴びた。目撃者も議員も憤慨し、「政府は真実を隠している」という声が噴き出した。
この出来事はハイネクにとって重要な転換点となった。プロジェクト・ブルーブックが「解明」ではなく「鎮静化」を目的としていることを、彼は内側から痛感した。調査の結果、未解明のまま棚上げにされた事例が700件以上あったことも、彼には見えていた。しかしその事実は、表には出なかった。

「クロースエンカウンター」——懐疑論者が遺した言葉
プロジェクト・ブルーブックが終了した1969年以降、ハイネクは独自研究に乗り出した。1973年にはシカゴに「宇宙人研究センター(CUFOS)」を設立し、UFO目撃報告を科学的に分類・分析する取り組みを本格化させた。
この過程で生み出されたのが「クロースエンカウンター(接近遭遇)」の三段階分類だ。第一種(CE1)は150メートル以内でのUFO目撃、第二種(CE2)は電磁障害や物理的痕跡が残るもの、第三種(CE3)はUFOの搭乗者や存在との直接遭遇を指す。この分類はスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『未知との遭遇』(1977年)にそのまま採用され、世界的に広まった。スピルバーグはハイネク本人を映画のエンディングにカメオ出演させてもいる。
1977年、第一回国際UFO会議でハイネクはこう語った。「UFO現象全体は実在すると信じている。ただしそれが何を意味するかは、まだわからない」。かつて「馬鹿げた話」と切り捨てた男の口から出た言葉とは、とても思えない。ハイネクは1986年4月27日、脳腫瘍のため75歳で死去した。彼が遺した「クロースエンカウンター」という言葉と、解かれないままの疑問は、今も世界中の研究者たちに受け継がれている。
参考:Popular Mechanics、ほか
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