AIが生んだ女性に恋をし、2000kmを旅した男… 給料をはたいた先に待っていた残酷な真実

ネットの向こうの恋人に会いに行ったら、相手は実在しなかった。そんな話はこれまでも「なりすまし」や「ロマンス詐欺」として繰り返し報じられてきた。だが、ブラジルのレンガ職人エジマール・ホシャ・マルチンス氏(49歳)が出会った女性は、そもそも人間ですらなかった。彼が恋をしたのは、AIが生み出した映像の中の女性だったのだ。
フォロワー30万人超の「農場の金髪美女」
エジマール氏が心を奪われたのは、ジェシカ・オリヴェイラ、またの名を「ジェシカ・ファゼンデイラ(農場のジェシカ)」と名乗る金髪の女性だった。
彼女のSNSには、のどかな農場暮らしの様子を映した動画が並び、男性たちに一緒に暮らそうと呼びかけていた。フォロワーは30万人を超えていたという。エジマール氏に対しても、ここで一緒に暮らそうと誘い、旅費を負担し、共に暮らし始めたら生活も支えると約束していたと伝えられている。
エジマール氏は、母親を亡くしてから孤立感を深めていたと明かしている。つらい時期を経て、誰かと寄り添える新しい人生を求めていた彼にとって、彼女の誘いは幸せへの切符に見えたのだろう。
約2100キロの旅路の果てに
エジマール氏は10月9日(金)、ブラジル北部の町イペラトリスを出発。36時間以上バスに揺られ、道路距離にして約2100キロ離れた大都市ベロオリゾンテに11日(日)に到着した。
しかし、そこに彼女の姿はなかった。エジマール氏は写真を手に街を歩き、この人を知らないかと尋ねて回ったが、誰一人として見覚えのある者はいなかった。やがて彼は、夢の女性が存在せず、動画がAIで生成されたものだと知ることになる。
本人は、だまされたと感じたと振り返っている。旅費には給料をつぎ込んでおり、手元にはほとんどお金が残っていなかった。家にひとりでいる孤独が、時に人の人生に大きな災いをもたらすことがある。エジマール氏はそう語り、寂しさが彼女を本物だと信じ込ませた大きな要因だったと認めている。
半年で3件目、AI美女に引き寄せられる男たち
途方に暮れたエジマール氏を救ったのは、ベロオリゾンテ市の移住者支援窓口だった。食事やシャワーを提供され、ネット詐欺についての助言も受けたという。当局は帰りのバスの切符も手配し、彼は13日(火)に街を後にした。ただし行き先はイペラトリスではなく、生まれ故郷のトカンチンス州だった。
いつかまたベロオリゾンテに戻るかもしれないが、その時は違う形で来る。エジマール氏はそう話している。
見過ごせないのは、これが同市で半年足らずのうちに起きた3件目の同様の事例だという点だ。ほかに2人の男性が、AIで生成された女性に会うためにこの街を訪れていたと報じられている。
生成AIの進歩で、実在の人間と見分けのつかない映像を誰でも作れる時代になった。かつて人をたぶらかすのは狐や狸の役目だったが、現代の化かし役は画面の中のアルゴリズムなのかもしれない。
存在しない誰かに本気で恋をし、2000キロを越えていく。その旅を笑うことは簡単だが、彼を突き動かした孤独は、画面の前に座る誰の中にも潜んでいる。次に「農場で暮らそう」とささやかれるのは、私たちのほうかもしれない。
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2024.10.02 20:00心霊AIが生んだ女性に恋をし、2000kmを旅した男… 給料をはたいた先に待っていた残酷な真実のページです。ブラジル、農場、AIなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで