【奇行】宇宙人に会いたい一心で、自宅の芝生を”巨大な男根”の形に刈り込んだ文豪

宇宙人による「誘拐」を恐れるどころか、自ら彼らに会う方法を本気で模索した文豪がいる。『裸のランチ』(1959年)で知られる米作家ウィリアム・S・バロウズ(1914〜1997)だ。
晩年の彼は、灰色の肌を持つ宇宙人「グレイ」を、人類から血液や精液を奪う衰退種族ではないかと疑っていた。にもかかわらず、彼らを自宅に呼び寄せようとしていたというのだ。
『コミュニオン』の作者を訪ねた1989年の山小屋
バロウズの地球外知性への関心は、晩年に突然芽生えたものではない。1980年8月11日の講義の記録には、すでに宇宙人、夢、輪廻転生が主題として並んでいる。
決定打になったのは、ホラー作家ホイットリー・ストリーバーが1987年に発表した『コミュニオン』だ。ニューヨーク州北部の山小屋で、1985年12月26日に謎の存在と遭遇したという体験記である。ストリーバーは相手を安易に宇宙人とは呼ばず、「ビジター(訪問者)」と表現した。
1988年の続編まで読んだバロウズは、1989年にストリーバーへ手紙を送り、ビジターと接触したいと申し出た。妻のアンが差出人が本物のバロウズか確かめた上で、夫妻は彼を問題の山小屋に招いた。
滞在中、バロウズはストリーバーの体験を熱心に聞き取り、彼が本気でそれを体験したと確信したとされる。だが、肝心のビジターはバロウズの前に現れなかった。
芝生に刈り込まれた「巨大な男根」
なぜ自分のところには来ないのか。バロウズは、ビジターが接触する相手を選んでいるのではないか、自分を邪魔者とみなしているのではないかと考え始める。1991年6月10日、カンザス州ローレンスの自宅で受けた取材では、湖畔に持つ家の周辺でもUFO目撃談があるのに、自分はまだ見る幸運に恵まれないと語った。
1995年の著書『My Education: A Book of Dreams』では、少なくとも一部の報告の背後には本物の何かがあるのではないかとの考えを示している。特に注目したのが、ストリーバーの体験に含まれる性的な接触の描写だ。バロウズはそれを、ビジターが生殖や性に関わる何かを求めている兆候と読み取った。
そこから生まれたとされるのが、前代未聞の「誘致作戦」である。作家マシュー・レヴィ・スティーブンスの記述によれば、バロウズは自宅の芝生を伸ばし放題にした上で、人に頼んで巨大な男根の形に刈り込ませたという。ミステリーサークルさながらの地上絵で、訪問者の目を引こうとしたわけだ。
もっとも、この芝生の一件を裏付ける独立した記録は確認されていない。事実だとすれば、上空から見下ろした知的生命体の感想を聞いてみたいものだ。

「なぜ俺のところには来ない」死の半年前の日記
バロウズのグレイ観は、死の約半年前に最も暗い形をとる。1997年2月3日付の日記(死後『Last Words』として出版)で、彼はグレイを「コントロール・エイリアン」と呼んだ。創造力を失って滅びゆく種族であり、生き延びるために人間の血液と精液を必要とし、人類の知性を低下させようとしている——というのが彼の見立てだ。
これは、彼が生涯書き続けたテーマの延長でもある。バロウズは、言語や制度、依存症を通じて人間が見えない力に操られている可能性を作品で追い続け、言葉そのものが外から思考を支配するという発想で知られた。晩年の彼にとってグレイは、その「支配する力」の新たな姿だったとも考えられる。
同じ日記で彼は、なぜ自分のもとには来ないのかと自問し、霊的な感覚の鋭い人間を彼らが恐れているからではないかと自ら答えている。1997年8月2日、バロウズは83歳で世を去った。待ち望んだ遭遇を語ることは、最後までなかった。
グレイが本当に彼を恐れて避けたのか、それとも芝生の「招待状」が趣味に合わなかっただけなのか。いずれにせよ、宇宙人をここまで本気で口説こうとした文豪は、ほかにいないだろう。
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