会話するだけでAIが拳銃を設計!? 銃専用AI「GatGPT」が生んだ火星人の光線銃のような珍デザイン

画像は「Futurism」より

 レシピや旅行プランを考えてくれる対話型AIは、もはや珍しくもない。だが、銃の設計を手伝うAIとなると話は別だ。

 開発したのは、13年前に世界初の3Dプリント銃を作ったことで知られる銃所持権の活動家、コーディ・ウィルソン氏。米テック誌ザ・ヴァージの記者を前に、同氏はこのAIで設計したという拳銃の試射を披露した。その結果は、良くも悪くも「いかにもAIらしい」ものだった。

「AIが作った銃」ではなく「銃を作るAI」

 AIの名は「GatGPT」。ウィルソン氏自身が運営する、銃や銃部品のデジタル設計データを集めたオンラインライブラリー「DEFCAD」のデータで学習させた銃専門モデルだ。銃に関するあらゆる質問に答え、組み立てに必要な部品選びまで手伝うという。

 同氏によれば、拳銃「WASP」は名前から安全面の手直しまで、すべてAIとの自然な会話の中で生まれたという。既存の小型単発拳銃をベースに「完全に機能する独自デザインを」と頼んだところ、AIが改良点を6つ挙げた計画書を出してきたそうだ。流行りの「バイブコーディング」の銃版と言える。

 もっとも、ウィルソン氏にとってWASPは試作品にすぎない。同氏は、自分たちが作ったのは「AIが生成した銃」ではなく「銃を生成できるAI」だと強調している。なお、GatGPTは現在、限定的な先行公開の段階だという。

3発中2発、評価は「かろうじて機能する」

 テキサス州オースティンで行われた試射は、なかなか締まらない展開だった。台に固定したWASPの引き金を紐で引いたところ、1発目はまさかの不発。手直し後の2発目は爆竹ほどの音を立てて標的を撃ち抜き、ウィルソン氏が自ら構えた3発目は少し上に外れた。

 見た目もかなり独特だ。人間の手にうまく収まらない、丸いコブが3つ連なったようなグリップ。作りかけで放置されたような用心金(引き金を守る輪)。銃器史家のアシュリー・フレビンスキー氏は、ルーニー・テューンズに登場する火星人マーヴィンの光線銃を連想したと語っている。ウィルソン氏本人も、人気ゲーム『フォートナイト』の銃っぽいと認めているほどだ。

 英国王立武具博物館の学芸員ジョナサン・ファーガソン氏の評価はさらに辛口だ。法的には発射できれば銃だが、技術的には良い銃とは呼べず、かろうじて機能する程度だとしている。2026年の生成AIならもっとまともな銃を設計できると思っていた、というのが同氏の感想だ。

笑えない「シリアル番号なし」の問題

 ただし、この珍銃を笑い話だけで済ませるのは難しい。WASPには通常の銃にあるシリアル番号がなく、追跡が困難な、いわゆる「ゴーストガン」にあたるからだ。

 銃規制団体エブリタウンのジャスティン・ワグナー氏は、ウィルソン氏の狙いは身元審査や法的資格に関係なく誰もが銃を持てるよう、ハードルを下げることにあると批判している。銃の知識がほとんどない人でも、数回の指示だけで銃を設計できてしまう可能性があるからだ。

 一方、規制の動きは足並みがそろっていない。8月には、3Dプリント銃キットへのシリアル番号刻印などを求めた連邦の規則が裁判所で無効とされた。逆にニューヨーク州とカリフォルニア州は、3Dプリンターに銃の印刷を検知・阻止するソフトの搭載を義務づける法律を成立させている。

 ウィルソン氏は、ユーザーとの対話が増えるほどAIの設計は洗練されていくと自信を見せる。WASPについては、印刷されて発射されるまでは一種のデジタルの生命体だとまで位置づけているという。まるでSFの殺人ロボット誕生前夜のような話だが、とりあえず今のところ、そのAIは引き金を守る輪すら描き切れていない。

参考:Futurism、The Verge、ほか

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