最大なら「都市破壊級」の小惑星、公式発表は最接近のわずか8時間前だった… 2026 VAが突きつけた地球防衛の死角

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 小惑星の存在が公式に発表されたとき、地球への最接近まで残された時間はわずか8時間10分だった。

 11月2日に地球のそばを通過した「2026 VA」は、推定直径22〜49m。上限に近い大きさの天体が大都市の上空で爆発すれば、壊滅的な被害も想定されるサイズだ。

 今回、衝突の恐れはなかったことがNASAジェット推進研究所(JPL)の記録で示されている。それでも、もし衝突コースだったらという問いは、惑星防衛の弱点を浮かび上がらせる。

最初の観測から約18時間、公式発表から8時間で迎えた最接近

 小惑星センター(MPC)の公式回報「MPEC 2026-V02」によると、最初の観測記録は世界時11月1日の12時半ごろで、宇宙企業トランスアストラの観測施設によるものだ。欧州の観測所も追跡に加わり、回報は同日22時38分(日本時間2日7時38分)に発行された。

 最接近は世界時2日6時48分(日本時間同日15時48分)ごろ。距離は月までの3倍強にあたる約124万km、相対速度は時速約3万2400kmと報告されている。

 興味深いのは、回報の観測所に口径0.2mの望遠鏡まで含まれていることだ。近づけば小さな機材でも捉えられる天体が、この日まで未発見だったことになる。

 回報の暫定軌道では、太陽を約3.55年で一周し、地球の公転軌道との最小距離は約22万km。月より近い値だが、1日分の観測による計算で不確かさは大きく、将来の衝突を論じられる数字ではない。

チェリャビンスクを上回り、ツングースカの推定にも重なる大きさ

 22〜49mという幅は、明るさからサイズを見積もっているためで、表面の反射率次第で2倍以上の開きが出る。

 比較の目安は過去の2つの爆発だ。2013年2月15日にロシア・チェリャビンスク上空で爆発した天体は、直径17〜20mとされる。高度約23kmで放出したエネルギーはTNT換算で約44万トン。衝撃波で窓ガラスが砕け、1600人以上が負傷した。

 この天体は太陽の方向から飛来し、事前に発見されなかった。

 1908年のツングースカ大爆発の天体は、直径40〜60mと推定されることが多い。シベリアの森林約2000平方km、東京都の面積に迫る範囲がなぎ倒されたが、人のまばらな地域だったことで大量の犠牲者は避けられた。

 約50mの岩石質小惑星が特定の条件で衝突した場合の見積もりは約10メガトン。これは2026 VAの実測値ではなく、組成や速度、突入角度で被害は大きく変わる。

 仮にその規模の爆発が都市上空で起きれば、建物の倒壊に加え、広範囲でガラス片や瓦礫による被害が想定される。

8時間の猶予で、人類に何ができるのか

 2014年にNASAや米連邦緊急事態管理庁(FEMA)などが行った演習の仮想シナリオでは、軌道変更ミッションが部分的に成功したものの、約50mの破片が衝突コースに残る。衝突まで2年近くあっても2度目のミッションは間に合わず、被害への備えに軸足を移すしかないと結論づけられた。

 現実の切り札とされるのが、2022年9月に小惑星ディモルフォスへ探査機を衝突させ、公転周期を約33分縮めたNASAの実験「DART」だ。ただし数年の準備と10カ月以上の飛行を要しており、NASAは軌道変更には数年、理想的には数十年の猶予が必要との立場を示している。

 核を使う手段も検討されてきたが、直前の迎撃を保証できる実用システムはない。猶予が数時間なら、落下範囲を絞り込みつつ住民を避難させるのが精いっぱいだろう。

 頼みの綱は、NASAが開発中の赤外線宇宙望遠鏡「NEO Surveyor」だ。天体の熱を捉えるため、暗い小惑星や太陽方向の天体も見つけやすくなる。打ち上げは早くても2027年9月の予定だという。

 直径約40mを超える地球近傍小惑星は30万個以上と見積もられ、その大半が未発見とされる。2026 VAは何事もなく去っていったが、頭上の暗闇にこれほどの未知の天体が巡っていると思うと、夜空を見上げる目も少し変わってくるかもしれない。

参考:Above The Norm News、Minor Planet Center

TOCANA編集部

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