死の淵に現れる「トンネル状の空間」は約8割が白黒? 臨死体験者50人が描いた地図に浮かぶ形と色の奇妙なパターン

死の淵に現れる「トンネル状の空間」は約8割が白黒? 臨死体験者50人が描いた地図に浮かぶ形と色の奇妙なパターンの画像
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 光のトンネルに花園、亡き人との再会。臨死体験の「語り」は世界中で集められてきたが、その空間を本人に図で描いてもらう試みは、ほとんど注目されてこなかった。

 そこで50人の体験者に見取り図を描いてもらったところ、円錐状の空間は約8割が白黒、大きく湾曲した空間は9割近くが色つきという、奇妙な対応が浮かび上がったという。

112の空間を描き起こした「死の淵の見取り図」

 一部の調査で一般人口の4〜8%が経験したとされる臨死体験だが、言葉にしにくいため研究が難しい。ある参加者は、無数の格子点が多次元で結ばれたマトリックス状の空間に入れば宇宙のどこへでも行けると感じたと報告し、別の参加者は地球の過去・現在・未来を見たと記している。

 この難題に図で挑んだ論文が、2026年10月に学術誌『Frontiers in Psychology』に掲載された。筆頭著者はイスラエル・ハイファ大学のフランス・ラーナー氏で、ブラジルと中国の研究機関に所属する2人が加わっている。

 参加者は国際臨死研究協会(IANDS)のサイトで募集され、心理尺度の基準を満たした人のうち50人が、1.5〜3時間のオンライン作業をやり遂げた。

 彼らは体験を段階に分け、段階ごとに空間の形、自分の位置、動いた向き、見えた色を記録した。最大8段階に分けた人もおり、描かれた空間は合計112にのぼる。

円錐形は無彩色、大きな曲面は色彩の世界

 このうち108の空間は、次の4種類に分類された。

1.円錐形(光のトンネル型を含む):28空間のうち22が無彩色(78.6%)
2.アーチのように大きく湾曲した面:31空間のうち27が色つき(87.1%)
3.ほぼ平らなゆるい曲面:20空間のうち13が色つき(65%)
4.自分を囲む円形・楕円形:29空間のうち17が色つき(58.6%)

 無彩色とは、黒・灰・白と光の質感だけの状態を指す。円錐形では、漆黒の中をエスカレーターで昇るように斜め45度で浮上したという報告や、夜の黒から夜明け前の灰色へ明るんでいくトンネルの報告が並ぶ。

 一方の湾曲した空間では、ピンクと金の光でできた部屋や、ピンク・フロイドでおなじみの三角形と虹のようなプリズムが語られている。

 もっとも、すべてが同じ型に収まるわけではない。色つきの円錐形も6例あり、論文もこの結びつきを確率的な傾向と位置づける。統計的に最も安定していたのは円錐形とアーチ状の差で、残り2種類との差は分析手法によって揺れている。

 著者らは限界も認めている。参加者は過去の自由描画をもとに作られた図形カタログから近い形を選んで描き直しており、その影響は否定できない。

 体験は中央値で約15年前の記憶で、50人中8人は命に関わる状況ではなかったと答えた。医療記録の裏付けはなく、他の意識状態との比較も行われていない。

トンネル視やガンツフェルト効果は「原因」なのか

 興味深いのは、既知の視覚現象との類似だ。研究者らによれば、失神や低酸素など目や脳への酸素供給が損なわれる状況では視野が狭まることがあり、その見え方は円錐状の空間に通じる。

 暗い場所で色を感じにくくなる性質も、無彩色の多さと比較されている。全方位を包む空間については、視界が一様になったときに生じるガンツフェルト効果との共通点が挙げられた。この状態では、脳が情報の空白を埋めようとして鮮明な幻覚が現れることがある。

 ただし、これらは似ているという指摘にとどまり、原因を証明したものではない。チームはパターンの原因解明を主目的としておらず、論文も背後の神経メカニズムについては結論を出せないとしている。死後の世界の有無を判定する研究でもない。

 仮にトンネルの暗さに視覚の仕組みで説明がつく日が来ても、その先に開けた色彩の世界で、人がなぜ地球の過去から未来までを見たと感じるのかは別の問いとして残る。

 死の淵の地図には、書き込むべきことがまだ山ほどありそうだ。

参考:Frontiers in Psychology、Daily Mail

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