人類進化史に革命が起きる? “ホビット”と呼ばれたフローレス原人は、奇形か新種人類か?

■“ボビット”には「ホモ・サピエンスと同じ特徴はない」

 一方、他の研究者からはホモ・フローレシエンシスは現代人と同じホモ・サピエンスであり、グレープフルーツほどの小さな脳は発育上の障害のせいである、という反論もある。可能性として、ヨード欠乏によるクレチン症(先天性甲状腺機能低下症)や小頭症が疑われるとしている。

 今回、この人類進化について新しい調査アプローチを試みているのは、仏自然史博物館の科学者アントワーヌ・バルゾー氏らの研究チーム。発見されている9体のホビットのうち「LB1」と名付けられている、頭蓋骨がほぼ完璧な状態で発見された検体を最近日本で開発されたハイテク機器を用いて分析している。

 パリ・デカルト大学の古代病理学者であるフィリップ・シャルリエ氏の協力を得て、骨の厚さを何層にも分けて高解像度でイメージ化できるようにしたという。


■やはりホモ・サピエンスとは違う?

「頭蓋骨の骨の内部には、謎を解く多くの情報が詰まっているのです」と成果に自信を見せ、その結果「我々ヒト、ホモ・サピエンスと同じ特徴は見受けられませんでした」と断言する。さらに、このホビットには軽度の疾患はみられたものの、これまでに他の研究者が指摘したような重度の遺伝子疾患の痕跡はなかったことも判明したという。

 だが、数多いホビットをめぐる謎のひとつが解けたとしても、完全な解明にはまだ程遠いとも。フローレス島のホビットは近隣のジャワ島に数百万年前に辿り着いたホモ・エレクトゥスが矮小化されたもの、という可能性を排除できないとともに、ホモ・フローレシエンシスがオリジナル種ではなかったということの確証も得られていない。

「残念ながら現時点で我々はまだ正確にジャッジすることは難しいのです……」と語るシャルリエ氏。どうやらまだまだ時間がかかりそうだが、なにせ気の遠くなるような昔の話。人類進化の謎解きの続報をしばし待つとしよう。
(文=Maria Rosa.S)


参考:「Daily Mail」、ほか

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