>  >  > トラウマの「封印」がもうすぐ可能になる!

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 トラウマになり得るような嫌な体験は、何度も思い出すことでさらに記憶が強化されてしまう悪循環に陥るので厄介だ。記憶に残ってしまうことは仕方ないとしても、頻繁に思い出さないためにはどうしたらよいのか。


■思い出しやすい体験がある「シナプティック・タギング仮説」とは?

 有名な実験である「パブロフの犬」は、エサを与える時に毎回ベルの音を聞かせていると、そのうちベルを鳴らすだけで犬がエサを期待してヨダレをたらすようになるという条件反射を証明した研究である。

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パブロフの犬 画像は「Wikipedia」より

 イワン・パブロフ博士によって1902年に行なわれた本実験はかなり昔の話になるが、最近の研究では、この時のベルの音を「付随的記憶(incidental memory)」とし、エサを食べた体験を思い出すことを「連想記憶(associative memories)」と定義して新たな学術研究のステージへと発展させている。ベルの音という付随的記憶が引き金となって、美味しいエサを食べた体験である連想記憶がよみがえってくる、とまずは説明しているのだ。

 米コロンビア大学メディカルセンター(CUMC)とカナダ・マギル大学の合同研究チームは、アメフラシを使った実験で、この付随的記憶と連想記憶はどちらも同じシナプスを通じて定着するものの、まったく異なるプロセスで処理されていることを発見した。そして、このメカニズムの解明こそPTSD(心的外傷後ストレス障害)の有効な医薬的治療法を生み出すものに繋がるとして注目を集めているのだ。

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アメフラシ(Aplysia) 画像は「Wikipedia」より

 これまでは一般的に、トラウマ的体験の数々は脳神経上に同じメカニズムでひとまとめに記憶されており、個々の記憶を識別することはできないと考えられてきた。

 しかし、同チームが支持している「シナプティック・タギング仮説」では、トラウマとなり得る強烈な体験には、それに関連する“タグ(印)”がつけられており、思い出しやすくなっていることが示唆されている。そのため、何度も思い出すことで長期記憶として強化され、PTSDなどの症状に繋がっていると説明しているのだ。そしてこの“タグ”こそが付随的記憶なのである。

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