不可能遊園地は可能か? 遠心力で人間を振り回すことに命を懸ける、鬼才ラスロヴィクス博士の架空絶叫マシーン

■モキュメンタリー作品としての完成度

pp4.jpg画像は「IRC公式サイト」より

 このモキュメンタリー作品「遠心脳プロジェクト(The Centrifuge Brain Project)」は実に完成度が高く、作られたものと分かっていながら、古く色あせた昔風の映像を巧みに挿入し、実際に博士をインタビューしてドキュメント的にみせる手法によってあたかも実際にそんな世界があるのではないかという錯覚すら覚える。ティル・ノヴァクによるこの作品はサンセバスチャン・ホラー&ファンタジー映画祭2011審査員賞&観客賞受賞、ハンブルク国際短編映画祭2012観客賞受賞、アスペン短編映画際2012審査員賞受賞などと海外で高く評価されている。

 架空の話だとしても、ラスロヴィクス博士が1985年に制作したとされるアトラクション「ウェディングケーキ」についてのインタビューで、「このマシーンは人々に自由を与えてくれる。遠心力によって、この世に生きていて生じる人間関係や責任といったしがらみから切り離され、完全なる自由を手にすることが出来るのです」といった言葉はどこか現実的な印象を受ける。映像を制作したティル・ノヴァクは、FILMNOSISのインタビューの中で、「人間のすごいところは、自然にどんな現実にも合わせてしまうことです。遊園地に行ってどれだけ大きな乗り物に驚いても、次にはそれが現実だと納得してしまいます。それで私は、現実の10倍も大きくしたものを視覚的に作って、最初に感じた驚きや混乱を改めて体験させようとしているのです」と語っている。モキュメンタリー作品は、フェイクだと見るのではなく、実現したいけどできない空想として捉えれば、非常に面白いアイディアに満ちている。ここからは、現実、架空関係なくラスロヴィクス博士の発想した数々のアトラクションを紹介しよう。

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