巨大クジラの死体が人間を襲う? ビーチに打ち上げられた60トンのクジラに町民は戦々恐々!

 カナダのニューファウンドランド、トラウト・リバーの町役場の書記であるエミリー・バトラーさんは今、26メートルのシロナガスクジラの死体が、コミュニティ遊歩道隣の浜に打ち上げられ、人口600人の小さな町を強力な悪臭で包んでいる事で頭を悩ませている。彼女や他の町民は、腐敗によって生じるメタンガスがクジラの死体を爆発させる事を心配している。

巨大クジラの死体が人間を襲う? ビーチに打ち上げられた60トンのクジラに町民は戦々恐々!の画像1カナダ、ニューファウンドランドの浜に打ち上げられたクジラの死体 画像は「Daily Mail」より

 しかし、カナダの水産部調査科学官のジャック・ローソン氏は、その可能性は非常に低いという意見だ。ある時点でクジラの死体は皮膚を失い、しだいに崩れていくというのが理由である。

■メタンガスは動物の死体に如何に溜まっていくのか

 動物が死んだ時、身体の内部のバクテリアが腐敗の過程でメタンガスを作り出す。もしガスが徐々に死体から排出されない時は、溜まり続けていつか爆発する。クジラは極端な例である。身体が巨大であるので、溜まるメタンガスも大量だからだ。

 最近のクジラ大爆発の例

●米国 オレゴン州
 最近、オレゴン州の沿岸でマッコウクジラの死体が打ち上げられた。当局はその死体をダイナマイト(!)で吹き飛ばす事にしたが、結果は予期せぬものとなった。初めの爆発はダイナマイトによって起きたが、それに続き、死体内部に溜まっていたメタンガスの大爆発が起きたのだ。その結果、クジラの内臓や肉が宙に飛び、何と近くにあった自動車の屋根や窓ガラスまで壊れるというスプラッター映画のような惨事になってしまった。

●台湾
 台湾の爆発は更にひどい。漁師がクジラの死体を10時間以上かけて浜から引き揚げ、トラックに載せて大学当局に運ぼうとしたが、大学は死体を引き取る事を拒否。その為、死体を海まで持ち帰る最中に、街の中心で死体内部のメタンガスが爆発し、車や道路が広い範囲で血と内臓まみれになった。もちろん、近隣の住民はカンカンだったと言う。

●フェロー諸島
 2013年11月、フェロー諸島で生物学者のブジャニ・ミケルセンは、マッコウクジラの死体を切り開こうとした結果、顔の前で死体が大爆発した。

 しかし、このような爆発は幸いな事にそう頻繁には起こらない。通常、メタンガスは徐々に染み出すので、死体はしぼんだ風船のようになる。しかしながらローソン氏は「とは言いましても、人々は60トンのクジラの死体に近づいてはいけません。死体は人間を病気にするバクテリアやウィルスを持っている可能性があります」と警告する。

「クジラの死体に穴を開けてみたいとか、死体の上を歩いてみたいとか考える愚かな人達から危険は来ます」

 ローソン氏の警告とはうらはらに、クジラの死体爆発はYouTube等によって人気を博し、クジラの死体が爆発するのを待っている人のためのウェブサイト「hasthewhaleexplodedyet.com」まで存在する。

 このウェブサイトによると、現在ニューファウンドランドのクジラの死体は、海の沖に運ばれようとしている。メタンガスは、少量づつ排出されたようであり、ローソン氏は、このニューファウンドランドのクジラが爆発する可能性は低いと予測している。

 トラウト・リバー町役場のバトラーさんは、死体を動かすために連邦水産部と、州の環境および政府サービス部に助けを求めた。バトラー氏によると当初、町役場は漁師にクジラを沖まで引っ張って行く事を頼もうと考えた。しかしその後、このような仕事は専門家の監督が必要だという結論になったという。バトラー氏は、「これだけの大きさのクジラを動かす訓練を受けている人はいません」と話す。しかし、政府当局はクジラの処理はトラウト・リバー町の責任だと考えているらしい。

 日本でも最近、海洋生物の死体が浜に打ち上げられるケースがあったが、くれぐれも死体の取扱いには注意を!!
(文=美加リッター)

参考:「Daily Mail」、「hasthewhaleexplodedyet.com

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