タイムトラベルする方法を物理学者が紹介! 時空を超えた郵便配達も可能に!?
■はかない命のワームホールを延命させよ!
バッチャー博士はメッセージを託したフォトン(光子)に、このワームホールを通過させることで、過去や未来との時空を超えたコミュニケーションが可能になると述べている。
ただ、この際に問題となってくるのは、ワームホールの性質である「存在の不安定さ」である。ワームホールは浮き上がっては消えていく“うたかた”のようなはかない存在なのだという。そのため、入り口から進入した物質(理論上は人間も)が出口へと通り抜ける前に消えてしまいがちなのだ。ワームホールが消えてしまえば、通過中の物質はもまた海ならぬ宇宙の“藻屑”として消え去ってしまう。
しかし、バッチャー博士はこの短命過ぎるワームホールの寿命を嘆く前に、まず個々のワームホールの形状を見極めることが肝要であることを指摘している。
■ワームホールの形に着目せよ
“トンネル”になぞらえられるワームホールであるが、そのほとんどは入り口の直径よりも全長は短く、いわばイカリング(オニオンリング!?)のような形状をしているものが多いということだ。しかし、もし入り口の直径よりも長い“トンネル”を持つワームホールが見つかれば、それはタイムトラベルに適したワームホールだという。
ワームホールの内部に存在するカシミールエネルギー(Casimir energy、真空エネルギー)の作用で、ワームホールの形状が少しばかり安定するのだという。
遡ること4半世紀前の1988年、カリフォルニア工科大学の物理学者、キップ・スローン博士が既にカシミールエネルギーを使ってワームホールを安定させることができると指摘していたのだが、それが現在になって改めて脚光を浴びることになったのだ。
時空を超えたメッセージのやり取りを思い描くバッチャー博士のビジョンはこれでさらに一歩前進することになったのだが「ワームホールに送り込むフォトンに内容のあるデータを持たせられるのかどうか?」、「そもそもフォトンが無傷でワームホールを脱出できるのか?」など、他の科学者からの疑問の声はまだ多い。
また、記事のコメント欄からはタイムトラベル固有の問題である数々の矛盾(有名な「親殺しのパラドックス」など)の説明ができない以上はメッセージのやりとりも不可能なはずだ、という指摘も多い。
「この理論の構築のためにはまだまだ多くの検証が必要です」としながらもバッチャー博士は「(夢の実現の)可能性が確かにあるという事実に魅了されています」と意欲的に研究に取り組んでいる。
果たして将来、レースの結果を見た者が送ってきたメールに従って馬券を買う日が来るのだろうか? 夢はさまざまな方向へと膨らむばかりだが、実際に万馬券を当てられるかどうかはともかく、時空の壁を打ち破る研究がこうして着実に積み重ねられていることを知っておいても損はないはずだ。
(文=仲田しんじ)
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