明晰夢で健康になる!? 自分の意志で夢の内容をコントロールできる装置が開発される
■医療に娯楽に、広がる夢の可能性
人間の睡眠は、脳波と眼球運動の様子で状態を分類することができます。眼球が高速で動いている状態の睡眠は「レム睡眠」といい、覚醒(起きている)状態に近い睡眠です。レム睡眠では「シータ波」という、4~7Hzの周波数を持つ脳波が顕著になります。
その他の睡眠を「ノンレム睡眠」と呼び、その睡眠の深さによってステージが4つに分かれます。浅い眠りのステージ1ではリラックス時の脳波とされる8~13Hzの「アルファ波」が優勢で、眠りが深くなってステージ4に近づくほど、1~3Hzの「デルタ波」が主な脳波となります。
われわれが普段夢を見るのは、レム睡眠時であることがほとんどのようです。しかし明晰夢の場合は、覚醒している状態と、レム睡眠の間のような状態だと考えられています。そんな明晰夢の状態に導いたのが、25Hzや40Hzの電気刺激だったという実験結果でしたね。これは運動や作業に集中しているときなど、精神活動が活発なときに現れる脳波である「ベータ波」の周波数帯(13Hz~)です。
ベータ波の中でも24Hz以上の周波数を持つものを「ガンマ波」と定義することがありますが、まさにこのガンマ波の周波数帯である25Hzや40Hzの電気刺激により明晰夢を生み出したということです。ガンマ波が明晰夢の秘密だったということですね。
夢を見る仕組みの解明に近づいたことで、それを利用した医療が期待できます。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を持つ人にとっては、夢をコントロールすることができれば、フラッシュバックする悪夢を克服することができるかもしれません。
また医療目的以外にも、広く明晰夢を楽しめるように、tACSの装置が市販されることも十分に考えられます。ただ、今回の研究を行ったフォス博士は、装置が脳に刺激を与えるものであることから、医師の指示を経ずに使用されることに懸念を示しています。
しかしながら、抑圧されることが多い現実世界を暮らしている人は皆、せめて夢の中では好き勝手したい思うのではないでしょうか。未来から来た猫型ロボットが持っているひみつ道具のようなこの装置、欲しがる人は多いでしょう。しかし実際に商品化されたら、夢を楽しみすぎて寝坊するなんてことがゆめゆめないよう、気をつけて楽しまなければなりませんね。
(文=杉田彬)
参考:「Yahoo! News」、「Nature Neuroscience」ほか
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