呪いに汚染された土地、虎ノ門の因縁史とは?虎ノ門ヒルズ完成で「世界滅亡」の悪夢?
■「虎ノ門」名前の由来にも猫!?
一説によれば、朝鮮半島から虎が持ちこまれた際、その檻が大きすぎて門をくぐれなかった。そのためいったん門を解体し、門柱を大きく造り直したことからついた名とされています。つまり、ネコ科の動物である虎のために、せっかく完成した門を壊す羽目になったということ。
このエピソードに猫の呪いを見るのは、さすがに無理がある? いえいえ、ここで注目すべきは「虎を通すために道を広げなければならなかった」つまり道路拡張にまつわるトラブルがあったという点です。虎ノ門の呪いの本領は、「道路」にまつわる様々な問題にあるのですから。
■「新虎通り」と虎の呪い
関東大震災にて壊滅的な打撃を受けた東京。その復興を担当したのが、内務大臣であり帝都復興院総裁であった後藤新平。現在まで続く東京都市計画の父として、近年では再評価著しい人物です。後藤は新東京の道路設計として、幅員の広さ、そして放射状と環状に延びる設計を重要視しました。
しかし用地買収への反対、国家予算の出し渋りや政治的抵抗にあい、後藤の計画は大きく縮小せざるを得ませんでした。特に環状2号線・虎ノ門~汐留間の設計中止は、復興縮小の象徴と言えるでしょう。現在、虎ノ門ヒルズの下を走る「新虎通り」、いわゆる「マッカーサー道路」のことです。
この道路の建設計画は、太平洋戦争後の戦災復興でも再浮上しました。しかしこれも、土地権利や予算の問題によって凍結される羽目に。そんな中、奇妙な都市伝説がささやかれました。あたかも東京湾の港からアメリカ大使館へと至るようなルートだったことから「GHQ最高司令官ダグラス・マッカーサーが計画した大道路だったのではない?か」といった誤解が流布されたのです。「マッカーサー道路」の俗称がついた由来ですね。
しかし事実は全くの逆。GHQは戦後の道路復興について「戦勝国のような大通りを作るなどけしからん」といったスタンスだったのです。環状2号線の未着工ルートは本来なら、マッカーサー道路ではなく「後藤新平道路」と呼ばれるべき道でした(越澤 明・著『復興計画』『後藤新平』を参考)。
マッカーサーの東京復興に対する冷淡な態度は、日本軍との戦いによる様々な遺恨もあったでしょう。フィリピン戦において、マッカーサーを最後まで苦しめたのは“マレーの虎”山下奉文大将。この“虎”への恨みが、間接的に新虎通りの開発を遅らせたのでは……というのは、さすがに考えすぎですかね。
ともあれ、1989年の立体道路制の創設によって道路上にビルを建てられるようになり、続いて2003年に環状2号線の事業認可が下ります。ビル下での立体交差という、まさに門を広げて虎を通すがごときビックリ手法で用地&道路問題を解決。呪いさながらの因縁をはねのけ、ついに森ビル悲願の虎ノ門ヒルズ着工とあいなったのですが……。ここでメガトン級の「猫にまつわる呪い」が頭を持ち上げます。
聞いて驚いてください。なんとオカルトマニアの一部からは、虎ノ門ヒルズ完成こそ世界終末への序曲だと見なされているのです!
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