呪いに汚染された土地、虎ノ門の因縁史とは?虎ノ門ヒルズ完成で「世界滅亡」の悪夢?
■7つのヒルズとヨハネの黙示録
その根拠は、オカルト好きなら誰もが知る「聖マラキの予言」。12世紀、アイルランドの聖人マラキが、以降の時代における歴代ローマ教皇について予言した本とされています(1590年に作られた偽書という説もありますが、まあそこは置いておきましょう)。
この予言書では、12世紀のクレスティヌス2世から数えて111人の教皇を言い当て、ついに前ローマ教皇ベネディクト16世まで至っています。問題はその次、現状のフランシスコ教皇の時代に、世界はどうなるかという部分。聖マラキの「最後の予言」、結尾の2行にはこう記されています。
「ローマ聖教会への極限の迫害の中で着座するだろう」
「ローマびとペトロ、彼は様々な苦難の中で羊たちを司牧するだろう。そして、7つの丘の町は崩壊し、恐るべき審判が人々に下る。終わり。」
7つの丘の町は、古代ローマ都市における「ローマ七丘」を指すのでしょう。しかし丘とは「ヒルズ」とも読めます。
……もうお気づきですね。森ビルが開発し、いまだ「ヒルズ」の名称を冠しているのは、アークヒルズ、六本木ヒルズ、愛宕グリーンヒルズ、元麻布ヒルズ、オランダヒルズ、表参道ヒルズ 。そして今、虎ノ門ヒルズ竣工によって「7つの丘」が揃ってしまう。つまり、崩壊する7つの丘の町とは、東京かもしれないのです!
「わたしが見たこの獣は、豹に似ており、足は熊の足のようで、口は獅子の口のようであった」 恐るべき審判が「最後の審判」だとすれば、それに先んじて『ヨハネの黙示録』に記された災いが起こるはず。黙示録において、サタンの化身から権威を手渡される怪物は、このように描写されています。
豹とライオン……「黙示録の怪物(アポカリプス・ビースト)」とは、ネコ型に違いありません! もしや「トラのもん」は、この怪物をデフォルメしたものなのでは……? そう考えると、たいへん恐ろしいですね。
■災いを招く都市開発
ともあれ、虎ノ門地域そして新虎通りには様々な因縁が絡んでいるのだ、とご理解いただけたと思います。そういえば新虎通り開通の一ヵ月後、新橋駅側のトンネル出口そばにある烏森神社で火災が発生しました。幸いけが人はありませんでしたが、僕としては「悪所シリーズ」第1弾である渋谷駅前再開発と火災についての記事を思い出させる出来事でした。なんといっても渋谷地下火災からちょうど一年後、同じ5月12日に起きたのですから……。
もっともこの火災から得るべき教訓は、災害危険度が高い新橋駅前のような街並みをどう再開発してゆくかということ。個人的にはゴミゴミした街の風景も好きですが、地震や火災対策といった整備も必要です。災害と都市開発は、切っても切れない関係にあるもの。猫の呪いによる災いが東京に降りかかるかどうかはともかく、後藤新平が提唱したような、安全性の高い都市計画を見直すべき時期ではあるのでしょう。
■吉田悠軌(よしだ ゆうき)
怪談サークル「とうもろこしの会」会長。怪談やオカルトを「隠された文化」として収集・研究している。著書に『放課後怪談部』『ホラースポット探訪ナビ: 日本全国のヤバイところに行ってきた!』(学研パブリッシング)。編集長を務める同人誌『怪処』ではオカルト的な場所を広く紹介。
・怪処HP
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