500年以上の時を経て蘇ったアンコールワットの“隠された壁画”が神秘的!

■寺院の再建時に描かれた壁画か

 壁画は無秩序に描かれていたため、これらは1431年に寺院が放棄されたときに訪問者によって描かれた落書きではないかと専門家らは考えています。ただ、寺院中央の塔の最上部にある入念に描かれた絵については、16世紀にヒンドゥー教の寺院から仏教の寺院に改宗・再建された際に描かれたものではないかとの見解が有力です。

 第三回廊(バカン)と呼ばれる寺院の中央部には、木琴のようなものや、管楽器、ゴングなどカンボジアの伝統楽器が細かく描かれています。タン博士は、当時の王であるアンチャン1世が、アンコールワットを再建する際に、このような技術的に優れた絵を描かせたのではないかと考えています。

 1546年にはアンチャン1世が、また1576年には彼の孫のサータ1世が寺院の修復を命じており、その頃アンコールワットはヒンドゥー教から仏教と改宗され、未完成だった部分の彫刻も掘られました。現れた壁画に、日本のお墓にも立っている卒塔婆の源流である仏教のストゥーパ(仏塔)が描かれている点は、タン博士の考えと矛盾しません。博士は詳しい調査を行うべく、2012年から再び現地で調査をしています。

 発見された壁画についての全貌はまだわかってはいませんが、アンコールワットやカンボジアの文化の研究に役立つことは間違いなさそうです。しかしながら、NASAの技術がこんなところにも生きているということには驚かされますね。

 先日、ワールドカップに使われるサッカーボールを使用した風洞実験を、NASAが行なっているというニュースがありましたが、現在NASAは宇宙開発以外にも考古学や人類学など、様々な方面で存在感を発揮しているようです。ただ、他のことばかりで話題になると、財政難で宇宙開発の方が停滞しているのかなと、少し勘ぐってしまいたくなりますね。
(文=杉田彬)

参考:「Daily Mail」、「Live Science」ほか

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