水虫で自殺未遂?病気の自己診断に潜む危険性
~【ジャーナリスト渋井哲也のひねくれ社会学】都市伝説よりも手ごわいのは、事実だと思われているニセモノの通説ではないだろうか? このシリーズでは実体験・取材に基づき、怪しげな情報に関する個人的な見解を述べる~
ある日、足の指の間がかゆくなったので、見ると赤みがあった。
以前も同様の症状があり、放置しておいたら水疱ができた。水疱ができると、痛くて歩けない。そのため、今回は早めに薬を塗って対処しようと思った。しかし、何の症状なのかはわからない。
何かに感染したのだろうか?
靴ずれなのだろうか?
感染したとしたら….。ひとまず、感染源を考えた。
公衆浴場やサウナに行ったわけでもないが、かゆみが出る数日前に、マッサージに行ったことを思い出す。そのため、マッサージ屋さんで感染した可能性を考えた。
だとすれば、水虫やタムシの可能性だってあるが、確証はない。しかし、とりあえず、水虫の可能性を考えて、薬局で水虫の薬を買い、患部に塗った。すると、改善してきた。
以前も同様の症状があった時、水虫の薬を塗ったら、改善したことがある。だからやはり、こうした症状は、水虫か、それに似たものだろうと勝手に思い込んでいた。
さらに数日後、今度は手の指にも水疱ができた。私はこの時、「水虫が手に感染したのではないか」とも考えた。ネットで検索すると、水虫が手に感染する可能性はゼロではない。
だが、普通に生活をしている場合、手に水虫が感染する可能性は低い。ただ、ネガティブな感情で検索すると、確率が低くても水虫ではないかと思い込んでしまう。
足と手の水疱は別の病気なのだろうか?
夜になると、特に手の水泡があるあたりはかゆくて仕方がない。そのため不眠が続くし、かゆい部分をかきたくなるが、かいたら余計に悪化してしまう可能性がある。考え続けるうちに、まるで鬱状態かのような心境になり、「もう耐えられない。死んでしまえば、このかゆさがなくなる」とまで一瞬考えた。
もうこうなるとネガティブな思考になる。「かゆさで眠れず、死にたいと思う人もいるんだろうな」「かゆさで自殺したら、警察庁の統計では『健康問題』になるんだろうか」
大げさのようだが、そこまでかゆかったのだ。
そこで、自宅近くの皮膚科を探して、診察してもらうことにした。
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