原因は中国? 毒ガス土中投棄? 「オゾン層破壊物質、謎の放出」ニュースを見過ごすな!
そう考えると、四塩化炭素は機械の脱脂やドライクリーニングに使われてきた。怪しいのは中国。近代化したとはいえ、食品汚染を見ればわかるように、一般民衆の科学知識はかなり乱暴だ。
日本の企業が現地の個人経営のクリーニング店を視察したところ、有機溶剤でありモントリオール議定書で使用が禁止された「パークロルエチレン」を、そのまま瓶から衣類にかけてシミ抜きに使っていたという。オゾン層を破壊するしない以前に、塩素を含むパークロルエチレンは肝臓や皮膚などへの健康被害が大きいのだ。扱いが雑すぎるとしか言いようがない。
では、中国13億人がドライクリーニングを利用するようになったために、シミ抜きに使われる四塩化炭素が一気に大気中に放出されたのか?
クリーニング店の増加で皮膚がんになってはたまらないが、ドライクリーニングを謳いながら水洗いする店が摘発されたりと、実に中国的なクリーニング偽装が起きて問題になっているぐらいなので、原因はほかにあるのだろう。
■ホスゲン、シベリアの謎の巨大穴…今、地球で起きている事件に答えが?
四塩化炭素を加熱すると、ホスゲンという有毒ガスが生成される。ホスゲンは毒性が強く、化学兵器として第一次世界大戦時に利用された。あのオウム事件の時、麻原彰晃は坂本弁護士一家殺害事件を担当していたジャーナリストの江川紹子をホスゲンを使って殺害するように命令している(ただし毒殺には失敗)。
今年7月、ロシア・シベリアで謎の巨大な穴が発見された。最も大きなものは直径70m、他に15mと4mの穴が発見されている。この穴がどうしてできたのかは、未だにわかっていない。仮説として、もともと湖だった場所が地殻変動で地中に埋没し、湖の水が凍っていたのが溶けて陥没したというものと、見つかった地域に天然ガス田が多いことから、ガス爆発でできたのではないかとも言われている。そしてこの穴が見つかったのが、地球温暖化によって、シベリアの永久凍土が溶けたためだという。
1997年に結ばれた化学兵器禁止条約により、ホスゲンも大量保管が禁止されている。
仮に、どこかの国が、毒ガス兵器の原料として製造した四塩化炭素の保管に困り、大量に土中投棄していたとしよう。毒ガスは極端だとしても、モントリオール議定書に従い、使用が禁じられた四塩化炭素を保持できなくなって投棄したとする。捨てるとすれば、漏れないように深い氷の大地に埋めるだろう。四塩化炭素はマイナス22.9度以下であれば固体化して安定するからだ。それがシベリアの巨大な穴のように、温暖化によって氷が溶けて露出、大気中に放出されているのだとしたら?
NASAには早く原因を突き止めていただかないと、そんな毒ガス放出説を信じてしまいそうなので困るのだ。
(文=川口友万/サイエンスライター/著書『大人の怪しい実験室』)
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