最古のアメリカ人の顔 ― 9千年前にアジアから移住か?
■ケネウィック人の姿と生活
ダグラス・オウスリー博士は、カリ・ブリュエルハイド氏を伴い、「ケネウィック人」の人骨の研究を続けた。
彼らの調査によれば、発見された「ケネウィック人」の身長は170センチ、体重74キロという筋肉質な身体を持ち、手、腕、肩の骨などから、彼が右利きであったことが判明した。また、火打石を使うことに長けていたこと、さらに投槍器を使って槍を投げていたことなどの傾向が見られたという。彼は、2つの大きな怪我(6本の肋骨骨折と槍での戦いによる傷)を負っていたが、これらは直接的な死因ではなかったとみられ、死因は不明だ。
「ケネウィック人」たちは、北アメリカの北西海岸に沿った草原などを生息地としており、歩行、もしくはボートに乗り、海岸沿いにアメリカへ渡ってきたと考えられている。さらに食糧は、主に魚と海洋ほ乳類であり、「鹿、プロングホーン、オオツノヒツジ」などの大きな動物に混じり、氷河の溶けた水を飲み水とし、生活していたようだ。彼らの食生活は、環太平洋海岸からワシントン州に下った大陸北部からの移動民族のライフスタイルと一致する。
現在、「ケネウィック人」の遺伝学的検査はデンマークで行われている。「ケネウィック人」の頭蓋骨は長く薄い形をしており、これは環太平洋の古代人類(日本のアイヌ人やポリネシア人)と酷似しているそうだ。このことから「ケネウィック人」は、アジア沿岸に深いルーツを持つ可能性が高いという。
北アメリカ大陸では、1万年以上前の人間の骨はわずかしか発見されていない。もし、全貌が解明されたのだとしたら、この神秘的な人骨にさらに多くの情報を与えると思われる。
■文化人類学に役立つ?
スピリチュアルを重んじる彼らにとって、先祖と思わしき「ケネウィック人」を自分たちのやり方で埋葬できないことは、慙愧に耐えないことは容易に想像できる。だが、埋葬されなかったため、先住インディアンたちの新たなルーツが確立されたとすれば、文化人類学のさらなる発展が見込まれるだろう。「ケネウィック人」に関する更なる研究が進み、真実が明かされる日が来ることを願う。
(文=美加リッター)
参考:「Daily Mail」、「Texas Beyond History」ほか
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