第二次世界大戦は「占星術戦争」だった? “ヒトラーの指南役”カール・エルンスト・クラフトの真実
今年12月、元ナチス親衛隊(SS)の幹部アロイス・ブルンナーが、逃亡先のシリアで4年前に死亡していたことが明らかになった。ナチス・ドイツといえば、アドルフ・ヒトラーを筆頭に、SSの隊長であったハインリヒ・ヒムラーやカール・マリア・ヴィリグートなど、多くのメンバーが神秘主義に傾倒していたことで知られているが、とりわけ語られることが多いのは、UFOの開発や宇宙人とのコンタクトについてのエピソードだ。しかし、彼らは当然ながら占星術に関する興味も持っていた。しかも、第二次世界大戦における占星術家の活躍は、ナチス・ドイツに限った話ではなかったのだ。
今回は、ナチス・ドイツで活躍した占星術家を中心に、第二次世界大戦及び、これまでの戦争で活躍した占い師たちの一部を紹介しよう。
■時期を占う「エレクショナル占星術」
西洋占星術の技法に、「エレクショナル占星術(electional astrology)」と呼ばれるものがある。日本では研究者によって「開始占星術」や「始期占星術」、「選時占星術」などさまざまに訳されているが、これは西洋占星術の理論に基づいて、特定の物事を開始する最良の時期を選ぶ手法である。
エレクショナル占星術のやり方はかなり古くから伝わっており、762年、アッバース朝の第2代カリフ、マンスールが新しい都バグダッドを建設する際、3人の占星術師に工事開始の時間を選ばせたという。同様に13世紀イタリアのグイド・ボナッティは、都市国家フォルリの指導者に仕えて、敵との戦闘を開始する時間を決めていたという。20世紀になってからも、アメリカのレーガン大統領に雇われていた女占星術師ジョーン・キグリーは、ソ連との重要な協定を署名する時間を占星術で決めていた。このやり方は最初の頃は効果を上げたが、そのうちソ連側は、アメリカが決めた署名時間にわざと遅れるようになったと伝えられる。もしかしたらソ連側もキグリーに対抗して占星術師を雇い、アメリカの思惑を妨げようとしたのかもしれない。
そして第二次世界大戦中のヒトラーも、お抱えの占星術師を雇っており、その助言にしたがって戦争の戦略を決めていたという説がある。この占星術師の名が、カール・エルンスト・クラフトである。
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