「マンドラゴラだけは残る…」“ヒトラーの演説指南役”ハヌッセンが、死の前に遺した知られざる予言とは?

――超能力、心霊現象、UFO、など、いわゆる「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が解説!

「マンドラゴラだけは残る…」ヒトラーの演説指南役ハヌッセンが、死の前に遺した知られざる予言とは?の画像1イメージ画像

 第一次世界大戦後、現在のドイツがワイマール共和国と呼ばれていた時代は、ドイツにおける西洋占星術の復興期でもあった。この時期、後にヒトラーお抱えの天才的占星術師として知られるようになったカール・エルンスト・クラフトや、ウラニアン(天王星の)占星術の基盤を据えたアルフレート・ヴィッテ、ヒトラーの運命を予言したエリザベート・エバーティンと宇宙生物学を創始したラインホルト・エバーティンの母子をはじめ、多くの占星術師が活躍している。

 また、オカルトや神秘主義の分野でも、秘密結社「トゥーレ協会」を設立したルドルフ・フォン・ゼボッテンドルフ、「東方聖堂騎士団」のカール・ゲルマー、ヒトラーの指南役とも言われたカール・ハウスホーファー、ルターやマルクスの霊を呼び出せたというヨーゼフ・ヴァイセンベルクなど、奇妙な人物が大勢現れた。後にソ連に亡命する預言者ヴォルフ・メッシングも、一時ベルリンを舞台にその能力を披露していた。ドイツを代表する超心理学者ハンス・ベンダーも、当時すでに研究を開始している。独特の自然観とエネルギー理論を唱えた科学者ヴィクトル・シャウベルガーも、ある意味こうした流れの末端に位置付けられるかもしれない。

 さて、前置きが長くなったが、今回紹介するエリク・ヤン・ハヌッセンも、この時代に現れた謎めいた人物の一人である。

■“第三帝国の予言者”ハヌッセン

 ハヌッセンは、第一次世界大戦末期から、サーカスや舞台公演などで透視やテレパシーの能力を披露し、この分野で何冊か著書も残している。彼は自分の一座を率いて各地へと赴き、奇術や透視などの演目を行い、やがてベルリンの上流階級の間でも知られた存在となる。

 そしてこの頃、ハヌッセンは当時急速に台頭していたナチス党にも接近。1926年になるとヒトラーの演説指南役までかって出た。1933年1月1日には、ヒトラーに“魔力を持つ植物”である「マンドラゴラ」を送り、「近々ヒトラーが首相に就任する」と予言する。この予言は、1月30日にヒトラーが首相に任命されたことで、見事に的中した。

 つづいて同年2月のある夜、彼は少人数の信奉者を集めた会合で、「巨大な建物が火に包まれる」と予言した。すると2月27日、ベルリンの国会議事堂が何者かに放火され、またも予言が的中。こうしてハヌッセンは、ナチスとの深い関係もあって「第三帝国の予言者」と称されるようになった。一説には、国家を意のままに操ろうという野心を抱いていたとも伝えられる。しかし、彼には誰にも知られてはならない、“ある秘密”があったのだ――。

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知られざるドイツの歴史

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