AIが描く人類史に「数十年のタイムラグ」が発覚! 最新科学を無視して“野蛮な祖先”を量産する、学習データに潜む不都合な真実

AI(人工知能)は今や、教科書や博物館の壁、そして私たちのSNSのフィードに至るまで、遥か太古の祖先たちの姿を鮮やかに描き出している。だが、その「リアルな画像」に騙されてはいけない。
最新の研究によれば、AIが描き出すネアンデルタール人などの先史時代のビジョンは、科学的には「数十年も古い、時代遅れの偏見」に囚われていることが判明したのだ。
1960年代の「古い知能」に頼る最新AI
学術誌『Advances in Archaeological Practice』に掲載された調査によると、メイン大学のマシュー・マニャーニ博士らのチームは、OpenAIのDALL-E 3やChatGPTといった最新AIモデルが生成した「ネアンデルタール人」の描写を、過去100年間の2000本以上の学術論文と比較・分析した。
その結果、驚愕の事実が浮き上がった。
・AIが生成するテキスト説明の内容は、1960年代初期の科学知識のレベルに留まっている。
・AIが生成する画像のビジョンは、1980年代後半から90年代の古いステレオタイプに基づいている。
つまり、最新テクノロジーの塊であるはずのAIが、私たちの祖先について語るときだけは、化石のように古い教科書の知識を垂れ流しているというわけだ。
「毛むくじゃらの野蛮人」という捏造されたイメージ
なぜこのようなタイムラグが起きるのか。理由はAIの学習データの構造にある。
最新の考古学的研究の多くは、高額な購読料が必要な「ペイウォール(支払い障壁)」の向こう側に隠されている。一方で、100年前の古い記述や、かつて主流だった誤った説はネット上で無料で公開されている。結果として、AIは手に入りやすい「安くて古い情報」を優先的に学習し、それをあたかも真実であるかのように再構成してしまうのだ。
その結果、AIが描くネアンデルタール人は、現代の科学では否定されているはずの「腰の曲がった、毛むくじゃらで知性の乏しい野蛮人」という姿になりがちだ。酷いケースでは、ネアンデルタール人が「ガラスの器」や「金属工具」を使っているといった、時代設定を数万年も無視したデタラメな画像(時代錯誤)まで生成される始末だ。
「昔の人はこうだった」というステレオタイプがなかなか消えないことがあるが、AIはそのバイアスをさらに加速させ、世界規模で固定化させる恐れがある。
消される「女性と子供」:AIが温存する男尊女卑
さらに深刻なのが、文化的なバイアスだ。AIが生成する先史時代のシーンは、そのほとんどが「屈強な男性のハンター」に焦点を当てており、女性や子供、高齢者の存在は完全に脇役に追いやられている。
現代の考古学では、ネアンデルタール人の社会は多様な役割分担があり、協力的な子育てや洗練された文化習慣を持っていたことが分かっている。しかし、AIはかつての「男性中心主義的なイラスト」を大量に学習しているため、この複雑な社会構造を描き出すことができないのだ。
一見すると些細な問題に思える。しかし、学生たちがAIを使って宿題をこなし、教育者がAIで教材を作る現代において、この「歪んだ歴史」が事実として定着してしまうリスクは極めて高い。

AIは「人類の物語」を正しく語れるか
AIは、失われた都市を特定したり、古代の遺物を解読したりする素晴らしい可能性を秘めている。だが、私たちがどのように情報を共有し、公開するかという「人間側の姿勢」が変わらぬ限り、AIは過去の亡霊を召喚し続けるだけだ。
AIが描き出す「リアルな嘘」によって、私たちの集団記憶が書き換えられようとしている。博物館の壁に映し出された最新のCGが、実は60年前の古い思考の産物であるかもしれない……。
歴史とは、常に最新の知見でアップデートされるべき生きた学問だ。AIがそれを「正しく」語る日が来るのか、あるいは私たちがAIの作った偽の過去の中に住むことになるのか。私たちは今、テクノロジーの進化の傍らで、真実を守るための新たな戦いを強いられているのかもしれない。
参考:The Debrief、ほか
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2024.10.02 20:00心霊AIが描く人類史に「数十年のタイムラグ」が発覚! 最新科学を無視して“野蛮な祖先”を量産する、学習データに潜む不都合な真実のページです。捏造、ネアンデルタール人、AI、歴史などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで