第三次世界大戦は本当に起きるか? 11人の専門家が本気で検証!

daisanjisekaitaisen.jpg画像は、『第三次世界大戦は本当に起きるのか』(綜合図書)

 中国の海洋進出と周辺国との軋轢、ウクライナ危機、EUの不安定化、イスラム国の台頭、ホームグロウン・テロリスト(単独で居住国で感化、過激化して反社会的活動を実行する)、北朝鮮の核問題など、世界はリスクにあふれている。戦争を知らない日本人にとって、各国の複雑な背景や、絡み合った思惑を読み解くことは難しい。

 そこで、各エリアの現状やリスクなど直面している問題を注目のジャーナリストや研究者たちはどう見ているのかをまとめたのが『第三次世界大戦は本当に起きるのか?』(綜合図書)だ。タイトルこそ煽っているかのような挑戦的なものではあるが、中野剛志、黒井文太郎、小西克哉、福島香織、常岡浩介、廣瀬陽子、高英起、伊勢崎賢治、渡邉啓貴、高口康太、加藤朗(敬称略)といった、第一線で活躍しているにスペシャリストたちが「第三次世界大戦勃発の可能性や、戦争の火種となりうるリスクとは何か」について見解を述べている。
  
 では実際のところ「第三次世界大戦」は起きるのか? 本書の責任編集者に「日本人として知るべき事実と第三次世界大戦」について寄稿してもらった。


【編集者 丸山佑介氏寄稿文】

■現代版の戦争をイメージできない日本人

 まず、終戦後70年が経過しようとしている日本では、直接戦争を経験した人はすでに少数になっている。だからというわけではないが、誤解を恐れずにいわせてもらえれば、この「戦争経験」というものが、国際ニュースを見るうえでも、日本の平和を考えるうえでも具体性を欠かせてしまうのだ。

第三次……』に登場した研究者たちの意見では、日本人が平和ボケしているというよりも、世界標準の軍事の常識を知らなかったり、極端に戦争情報の摂取を制限している者が多いことに対して、懸念する声が多かった。

 日本をとりまく現状には、「戦争に発展するのではないか?」と懸念される問題がいくつかある。尖閣諸島を巡って関係が悪化した中国との小競り合い、北朝鮮の核開発、韓国と北朝鮮の軋轢(現在は休戦中)、アメリカとの同盟関係であるがゆえの集団的自衛権の行使……。たしかにどれも解決したり対処しなければならない問題ではある。だが、戦争へと発展となったときに日本人がイメージするのは、絨毯爆撃、消耗戦、ゲリラ戦、集団自決、徴兵制といったものが多く、日本国民の大半が太平洋戦争で敗北する前の物資不足で袋の鼠状態を思い浮かべてしまう。圧倒的な“敗戦のイメージ”がいまだに拭いされていない。

 実は、どこの国でも民族でも直近に経験した戦争をイメージしてしまうのだ。そのため日本では現代の戦争をイメージすることが難しくなっている。

※次ページ 現代の戦争の実態

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