【エレファントマン】体の一部が極端に肥大する男「これが私の生きる道」
デビット・リンチ監督の映画『エレファント・マン』をご存じだろうか。
1980年に公開されたこの映画は顔や体の一部が極端に肥大してしまう奇病を患ったジョセフ・メリックの生涯を描き、世界に衝撃を与えた。
この奇病は今なお原因不明だが、原因のひとつに有力視されている「神経線維腫症(レックリングハウゼン病)」は遺伝性があり、3,000人に1人の割合で生まれてくる。
重症度にもよるが外見に多大な影響を与えるこの難病に力強く立ち向かった人たちがいる。
■多額の募金によって再建手術へ
ジェームス・オニールもまた神経線維腫症(レックリングハウゼン病)を患った1人である。
幼児期に発病し、成長と共に腫瘍が肥大していくと顔の左半分が腫瘍で覆われてしまったのだ。しかしオニール氏は「これが私であり、私の生きる道だ。私のことを嫌う人はそれでいい」と自身の顔に誇りを持ち、7年もの間、地元の大型スーパー「セーフウェイ」でレジを担当していた。
外見に疾患を患う人は偏見や嘲笑に嫌気がさし人前に出ることに躊躇してしまう人も多いだろう。しかし堂々と誇らしげにレジを打つオニール氏に誰もが皆好意を抱いたという。また彼の同僚たちは「ジェームスは未だかつて1度も彼の苦悩を語ったことがない。彼は彼自身でいることが誇りなんだよ」と語った。
そんなオニール氏の人柄を知る顧客の1人が「彼の人生を変えてあげたい」と“ジェームスの腫瘍を切除する手術募金”サイトを設立すると、3万ドル(約358万円)まで募金が集まった。
そして人々の心を動かしたオニール氏の人柄は勤務先である大型スーパー「セーフウェイ」をも動かし、雇用主であるオーナーは彼に1万ドル(約120万円)を寄付したという。
さらに米国内4州で大規模な募金活動が行われ、総額はなんと24万ドル(2,860万円)にまでなった。
たくさんの人々に助けられ手術を受けることになったオニール氏は「これは大変光栄なことであり、とても誇りに思う」と語った。
その後手術を受けたワシントン大学でもオニール氏は再建外科手術の責任者であるネリガン医師によって無償で手術を受けることが出来たのだ。
術後「最高の気分だよ」と気分を明るくしていたが、その気持ちが彼の人生をより明るく照らしていくことだろう。
■「僕の奇病の謎を解明してほしい」遺言に現代医学が挑む
映画『エレファント・マン』のモデルにもなったジョセフ・メリックは2歳頃にその症状を発症した。その後成長と共に頭蓋骨が肥大し、体中にできた巨大な腫瘍のせいで唇も歪み食事や会話さえも困難であったという。
その醜い外見から家族にも見放され、たった1人見世物小屋で働いていたメリック氏であるが、「私の姿がおかしいのは事実であるが、私を咎めることは神を咎めることである」と自身の容姿について誇りを持って生きていた。
27歳という若さでこの世を去ったメリック氏は、自身の苦艱(くかん)に満ちた人生を振り返り“自分の遺体を保存し病気の原因を解明してほしい”と遺言を残した。
英クイーンメアリー大学が遺骨を管理しており、メリック氏の遺言に現代医学が最先端技術を用いて究明、解明に挑んでいる。遺伝性やその原因が解明されれば同じような病気に苦しむ人々の希望の光となることだろう。
(文=福島沙織)
参考:「Extraordinary Thing」ほか
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