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父親が息子の右手を切り落とす ― 止まぬアルビノの少年少女襲撃事件=東アフリカ

■その場しのぎの政策には批判の声も

父親が息子の右手を切り落とす ― 止まぬアルビノの少年少女襲撃事件=東アフリカの画像2画像は「YouTube」より

 アルビノ人権団体は政府に対してアルビノに対する保護政策を求めてきた。しかしながら、即射殺という罰則を用いても、得られる大きな報酬のため、この愚行を止めることはできないと嘆いている。

 カナダのアルビノ人権保護非営利団体「Under the Same Sun(同じ太陽の下で)」代表のビッキー・ティテマ氏は「政府は『アルビノの人々を貶める悪に立ち向かう』という見せかけの正義をアピールしているに過ぎない」と批判する。

「そのような野蛮な犯罪を実行する人物は、いわゆるギャングの末端構成員であり、その裏には彼らを動かしている黒幕がいることを忘れてはなりません。その場で彼らを殺すことは、事件の実態解明を遠ざけることになり、根本的な解決にはならない」(ティテマ氏)

 ティテマ氏はタンザニアやマラウィ、ブルンジの警察に対して、容疑者を殺してしまうのではなく、それらのアルビノの身体の一部を使って行われる黒魔術を扱う呪術師についての情報を訊問して収集し、真実を追求すべきだと強く訴えている。

「私たちはその殺人者の裏に隠れている本物の犯人を見つけるため、ひとつにならなくてはいけない。誰からも頼まれていないのに、なぜ人々はアルビノを殺さなくてはならないのか? 本物の犯人を見つけなくては何も変わりません」(ティテマ氏)

 ここ数年、東アフリカにおけるアルビノたちを取り巻く状況が悪化している中、今年行われるタンザニアでの選挙活動が事件発生数をさらに押し上げるだろうと国連の調査は予測している。つまり政治家たちが当選祈願のためのブラックマジック(黒魔術)を執り行うべく呪術師に大金を支払うことで、その結果アルビノたちへの襲撃が増えていくであろうという推測だ。確かに経済が発展途上のアフリカで、こういったブラックマーケットに大金を払える人間は、政治家以外では考えにくい。

 一国の将来を担う政治家たちがこの残忍なマーケットの根源を作り出しているとは、なんとも皮肉な事実である。何の意味も無い、ただただゲン担ぎのために恐怖のどん底に追い込まれるアルビノの人々――。日本から遠く離れたアフリカのとんでもない事件として片づけてしまわず、インターネットを通して入ってくる彼らの実情を少しでも知ろうとすることが間接的に彼らの生活環境を向上させる手掛かりになり得る。今後とも彼らのニュースを注視していきたい。
(文=ジョー丸山)

参考:「Daily Mail」、「UN Human Rights」ほか

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