黒雲が空を覆い赤い雪が降った日 ― いま再びアメリカに忍び寄る悪夢「ダストボウル」

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　ダストボウルが、ワシントンD.C.にまで至った1935年、米国政府はようやく重い腰を上げ、土壌保全に取りかかる。政府から補助金が出され、土壌保全局も新設された。その指示のもと、草を受け直し、風の影響を抑える防風林を設置、さらに土地本来のあり方に沿った耕作を行い、徐々に対策がなされていった。やがて井戸掘削とポンプ揚水の技術が進み、地下水の組み上げと灌漑が行えるようになった。このお陰で「ダストボウル」が発生する可能性は格段に下がっている。

　だが、現在では「ダストボウル」防止に一役買った地下水も枯渇が懸念されている。そのため灌漑を止め、天然水での農地活用に戻る農家もいるが、この方法では、はるかに収穫量が減ってしまう。そして農業から手を引く農家も出てきてしまった。さらに地下水の枯渇と地球温暖化により、干ばつ地域はさらに広がるとの研究結果も出ており、長期的な乾燥状態に突入し再び「ダストボウル化」が起こることも懸念されている。事実、2012年10月オクラホマ州北部に、巨大な砂嵐が発生。雲は赤茶色になり、主要州間高速道路で多数の事故を引き起こした。

　土壌保全は今後も継続されるだろうが、農家の力なくすべてを補えるとは考えにくいだろう。アメリカ全土に、黒い雲が再来する日が訪れるのも近いかもしれない。
（文＝檀原照和）

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