石原慎太郎、福田赳夫… 国会議員はなぜ「UMAネッシー」を探したのか?/康芳夫インタビュー
――元々なぜ彼とネッシーが結び付いたんですか?
「僕が企画委員長をしていた東京大学5月祭で知り合って仲良くなって、そこで谷川俊太郎、岡本太郎と慎太郎の座談会をやったりしたんですよ。ネッシーを始めたのはボクシングの後(アリ戦)ですよ。最初は小松左京さんっていうSF作家さんが隊長をやるって話だったんだけど、慎太郎がそれをどかして隊長になったんです。でも彼はその時参議院の国会議員だったんですよ。それで非難を浴びてね……。
なにしろ、当時英国はネッシーを“Saint Animal”だって崇めていたもの。それをね、“日本人が金に飽かして乗り込んでくる。しかも総大将は国会議員だ”っていうことが問題になってね(笑)。日本では朝日新聞に大々的に載ったかな。とにかく国内外で大いに叩かれましたよ。僕はまだ若かったからよかったけど、慎太郎は“いやしくも国会議員がなんでネス湖に?”って言われてたからね。小松さんは“だから僕を隊長にしておけばよかったのに”って言ってましたけどね。そういうことで1年半くらいいましたけどね。慎太郎さんはもちろん1回来ただけで、それでも2週間くらいいましたけどね」
――康さんは行ったっきりだったんですか?
「そうです、まぁ、凄いとこですよ。嵐が丘の舞台になったところなんですけどね、まぁ荒涼たるところで。英国、しかもスコットランドだから食べ物は不味いし、ウィスキーは美味いんだけど、僕は飲まないし。あと至るところに精神病院の隔離病棟があるしね。たまたま僕の連れがロンドンでレストランやってたから週末に行ったりできたからよかったですけど、隊員が15~16人はいたんですが、まあ退屈でね」
――そんな人数で1年半滞在というと、予算がかなりかかりそうですが……。
「福田赳夫(第67代総理大臣)さんってわかる? その時は川内康範も立ち会ったんだけど、彼がある料亭でいろんなスポンサーを紹介してくれたんですよ。なぜ彼が乗ったかっていうとね、彼は“大蔵省始まって以来の大秀才”と呼ばれた男で、20歳の前半でロンドンの駐英大使館に財務官として派遣されていたんです。その時に最初のネッシーが出てきたんです。あの有名な写真が(前ページ画像)。誰も見たわけではないですから。それで彼は、すっかりネッシーに興味持ってたんだね」
――単純に好きだったんですか!
「彼も“まさか日本人がネッシーを捕まえに行くなんて信じられんよ”って言ってたんだけど、問題になったもんだから、“俺の名前は一切出さんでくれ”って言ってましたけどね。もう亡くなっちゃったからいいよ、日本昔話だよ(笑)」
――元首相が、スポンサーの窓口だったと。
「窓口ってわけじゃないけど、紹介はしてくれましたよ。ヤクルトとか、ホンダとか、今の金にして、3億くらいは使ったかな。でも予算はギリギリでしたよ。今のお金で2,000万円くらいかけてチャーターで潜水艦を入れようとしたんだけど、現地警察に“入れたら逮捕する”って言われたりね。慎太郎もビックリして“さすがに止めよう”って言ってました。これは余談ですけどね、帰国後に彼が都知事選で美濃部さんに負けたから、“ネッシーのせいで評判が悪いんだ”って言われましたよ」
現在なら未確認のUMA捜索に、福田赳夫、石原慎太郎のような名前はクレジットされ得ないであろう。まさに虚実入り乱れた康芳夫ならではのこの企画で、日本国中が踊らされていたのだ。
(文・写真=福田光睦/Modern Freaks Inc.代表)
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●康芳夫(こう・よしお)
1937年東京生まれ。国際暗黒プロデューサー、虚業家、家畜人ヤプー全権代理人、全地球を睥睨するスフィンクス。
公式ツイッター=@kyojinkouyoshio
公式サイト=http://yapou.club
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2015年8月8日(土)
・第一回め:開演時刻 18:30 前売り(予約)3500円(当日会場払い)
・第二回め:開演時刻 20:30 前売り(予約)3500円(当日会場払い)
<会場>
家畜人ヤプー倶楽部@下北沢
<チケット>
・http://peatix.com/event/101342
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