武器不足のイスラム国が“自爆チキン”を開発?手作り化学兵器や放射能汚染兵器が使われる可能性も?

■深刻な武器不足に苛まれるISIS

「Daily Star」などの海外メディアによれば、この“自爆チキン”は現在のISの武器不足を物語っているという。ここ暫く続いているシリアとイラクへの大規模な侵攻で武器弾薬がかなりの程度消費され、現在のISは武装にも事欠いているはずだというのだ。

 その証拠に、ここ最近のISの戦闘では、以前にも増してお手製の“DIY兵器”が使われているといわれており、専用の銃座がないのかマシンガンをショッピングカートに載せて撃つ戦闘員の姿も確認されている。

 テロリスト情報に詳しい専門家、ナザル・カタウ氏によれば、現在ISが用いている爆弾や迫撃砲はかなりの割合で“DIY兵器”であるといわれ、トルコとの国境近くで密輸されたガスのカセットボンベや肥料用の硝酸塩混合物などが材料として使われているという。

 さらに危険な兆候であるのは、このまま通常兵器の欠乏が続けば、すでに一部の戦闘で使われているという塩素ガスなどを用いた化学兵器の使用を増やす可能性や、昨年に所有していることが明らかになった着弾地を放射能汚染する放射性爆弾「汚い爆弾(Dirty Bomb)」の使用に踏み切る危険性が今後高まってくるかもしれないということだ。ちなみに「汚い爆弾」は、「貧者の核兵器」とも呼ばれ、核兵器を独自開発する技術力や資金力を持たないテロ組織やテロ支援国家の切り札ともなる兵器として、国際的に危険視されている。

「ISは大量の自動小銃や拳銃を保有していましたが、現在消耗しつつあり、その補充は容易ではありません。したがって、この種の自家製の武器を製造する体制を整えようとしていますが、設備を持った機械工場が不足しているようです」(ナザル・カタウ氏)

 今年5月にはISのナンバー2、アブ・アッラ・アルアフリが爆撃により死亡し、戦線の崩壊も間近かと思われていた時期もあったが、予想に反し再び勢力を盛り返し、事態はさらに混迷を深めている。このように物騒な“秘密兵器”が使われることのないよう、すみやかな収束を願いたい。
(文=仲田しんじ)

参考:「Daily Star」、「Daily Mail」ほか

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