【北朝鮮拉致事件】日本人女性看護師失踪には“将軍様の好み”が関係していた?

【北朝鮮拉致事件】日本人女性看護師失踪には将軍様の好みが関係していた?の画像1※イメージ画像:『金正日と高英姫 平壌と大阪を結ぶ「隠された血脈」』(イースト・プレス)

 いまだ解決の日を見ない北朝鮮による拉致問題。警察庁の発表によると、拉致の疑いが排除できない失踪者は800人を超えるとされる。なぜ北朝鮮は、これほどたくさんの日本人を拉致したのか? スパイに仕立てるため、自国民に日本語を教えさせるため……さまざまな理由が推測されるが、ある職業に就いていた女性たちの失踪の陰に、“将軍様の好み”があったのではないかとささやかれている。

 拉致被害者や拉致の疑いが排除できない失踪者には、奇妙な共通点がある。有名なのは、蓮池薫さんや地村保志さんのように男女一組で連れ去られたケースだ。外国人のカップルであれば、スパイとして海外で活動しても疑われにくく、北朝鮮の工作活動に利用できると考えたとみられている。

 また、印刷に関連する仕事に就いていた人も相次いで不可解な失踪を遂げており、専門家は北朝鮮の偽札作りのために連れ去られた可能性があると指摘している。

 さらに女性では、看護師や看護学生などの失踪者が多く、帰国した曽我ひとみさんも准看護師の資格を持っていた。当初は日本の医療技術を北朝鮮に導入するためと考えられていたが、北朝鮮での目撃情報のうち、看護師の女性失踪者が北朝鮮の病院で働いているというケースはほとんどないという。

 たとえば、看護師だったAさんは北朝鮮で日本語教師をしており、同じく看護師だったBさんは北朝鮮幹部と結婚しているという情報が存在する。看護学生時代に拉致された曽我さんも、帰国後の証言や夫であるジェンキンス氏の著書などからは、北朝鮮で看護師の仕事に従事していたという情報は得られていない。

 危険を冒してまで連れ去った女性たちを目当ての場所で働かせないのは、なんとも理解に苦しむ。だが、拉致問題に詳しい専門家は、実は彼女たちを看護師として働かせることが目的ではなく、「金正日(総書記)が日本の女性看護師の“かいがいしさ”を高く評価していたことが、背景にあるのではないか」と分析する。

 故・金正日総書記といえば、大阪で生まれ育った在日朝鮮人の高英姫(コ・ヨンヒ)氏を寵愛したことで知られる。高英姫氏は現在の北朝鮮トップ、金正恩氏の母親でもある。

 北朝鮮で金正日総書記の料理人を務めた藤本健二氏の著書には、高英姫氏が寝る間を惜しんで夫の書類整理を手伝うなど、かいがいしい姿が記されている。こうした姿から、金総書記が日本育ちの女性、特に看護師のように骨身を惜しまず働く人物に好意を抱いていたとしても何ら不思議ではない。そして、そうした金総書記の姿を見た部下たちからすれば、日本人の看護師はさぞかし理想の女性に見えたことだろう。

 看護師の女性は、金総書記が日本人拉致の指令を出した1976年以降に相次いで失踪した。この時期は、金総書記と高英姫氏が同居を始めた時期とも重なっているのである。多くの女性看護師が不可解な失踪を遂げた真相はわからない。ただ、“将軍様の好み”によって北朝鮮に連れ去られたとすれば、北朝鮮の身勝手さに怒りを覚えるしかない。
(文=匿名事件記者)

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