「自分は童貞である」と明かす裏モノコレクターが集めた大人のおもちゃコレクション
■童貞を告白する裏モノコレクター
渡辺氏を裏モノコレクションに駆り立てるものとは何なのだろうか?
筆者は、渡辺氏から発せられた「憧れ」という言葉がキーワードなのではないかと考える。渡辺氏が、暴走族のステッカーを集めたきっかけについて、「暴走族は堂々としていて、憧れだった」と話していたのだ。
憧れが渡辺氏のモチベーションのひとつであることは、彼が、自分では使わないものを多く集めていることからもわかる。
彼のコレクションのひとつには、珍タバコ・珍酒というジャンルがある。渡辺氏はタバコも吸わず、酒も飲まないが、珍しいパッケージや海外ものの銘柄をコレクションしてきた。
また、渡辺氏は、媚薬やバイブレーター(ゴム製、手の形をしたものなど多数)、精力剤(スプレー系、リキッド系、クリーム系、ローション系)、ペニスの形の温度計、男女が性交する形の置物などの「大人のおもちゃ」といわれるものも積極的に集めている。それらの全ては使用目的でなく、単純に収集・保存のための購入だ。さらに、ホモセクシャル用のバイブやAV(VHSも多数)などの多くのグッズも所有。渡辺氏は、実際に新宿二丁目の専門ショップに出かけ、それらを買ってくることも全く厭わない。しかも、氏は自分を「童貞だ」と告白する。体験したことのない「大人なもの、性的なもの」に対する憧れもまた、収集の動機となっているのだろう。
日によっては、長髪を束ね、スカートを履き、ヨーロピアン風のカーディガンを着て街を闊歩する渡辺氏。一方で「女友達は多く、よく家に遊びにくるけど、僕は性欲がわからないので、『亮ちゃん、亮ちゃん』っていって添い寝してくるけど、男女の関係にはならない」と話す。
だが、こう語った時にはひときわ力を込めた。「女性を好きになって付き合ったりする時間があったら、ネットや街で裏モノを色々集める時間に充てたいんですね。無論、酒もたばこも博打もやりません。食べ物も着るものにもあまり興味がないので、お金はほとんど裏モノにつかっています。生半可な思いじゃないから」
渡辺氏にとって裏モノコレクターは、ただの肩書きではなく、ストイックに追い求める「道」のようなもの。自分とは切っても切り離せない、ライフスタイルのようなものなのかもしれない。
渡辺氏が自身の会報誌に寄せた自作の詩(結社の詩)には、こんな一節があった。
我 黒であり白である
我 陰であり陽である
我 天使であり悪魔である
我 左手であり右手である
我 悪であり正義である
我 金剛界であり胎蔵界である
我 男であり女である
我 大人であり少年である(←は引用者)
(取材・文=山辺健史/やまべ・たけし、写真=新納翔)
・第3回は27日16時配信予定
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