「裏モノコレクター」として生きる男、渡辺亮介氏 第3回

左翼も右翼もイスラム国も魅力的で ― 人生の全てを賭けて裏モノを集める男

【「裏モノコレクター」として生きる男、渡辺亮介氏の生き方に迫るロングインタビュー 第3回/全6回】

 暴走族や任侠団体などのアウトローグッズを集め、バイブや媚薬、エロ人形など観賞用の大人のおもちゃなども購入。世界の秘密結社や宗教のグッズも多く所有する。そんな「裏モノコレクター」渡辺亮介氏のコレクター歴は30年以上を数える。これまで氏は3,000万円以上をコレクションにつぎ込んだと話すが、どのような生活を送っているのだろうか?

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■コレクションに3,000万円以上支払う!?

 渡辺氏がコレクションに3,000万円以上をつぎ込めたのは、氏の境遇にある。

 渡辺氏は1973年に東京都東大和市で、印刷会社社長の一人息子として生まれた。家業の印刷会社は、一代で財を築いた社長やお坊さんの自伝など「金に糸目をつけず発刊する豪華本」を製作する会社で、日本の経済成長に伴い、多くの発注を受けてきた。会社は家族経営が主体で、渡辺氏も高校中退後、家業を手伝っている。渡辺氏は印刷の手伝いやポスティングなどを担当し、そうして得た収入はほとんどコレクションにつぎ込んでいる状態だという。

 そういった背景に加え、彼の裏モノコレクションには家族の理解が欠かせない。

 渡辺氏が開催した「暴走族ステッカー展」などの展覧会では、父が展示物の搬入を手伝い、母もまた、渡辺氏が自宅に友人を招くと、お茶とケーキでもてなしている。さらに、父は渡辺氏と一緒に裏モノを購入するための海外旅行にも何度も同行しているという。渡辺氏のコレクションの一部は、家族の援助で成り立っているのかもしれない。


■渡辺氏の父は語る

 現在、彼は東京某所の10畳ほどのワンルームマンションでひとり暮らしをしている。しかし、「コレクションルーム」と称する保管部屋は、父親の協力もあって倉庫代などの維持費はかからない。

 今回の取材時に、その渡辺氏の父親に会うことができた。美術の先生のような落ち着いた雰囲気の紳士で、微笑みながら渡辺氏のことをこのように話す。「いろいろな生き方がある中で、亮介は好きなものを突き詰めていると思うんです。それが人生ではいちばん大切なこと。そういう部分を尊敬しています」。

 渡辺氏が高校を中退してから様々な思いを経てその心境に至っていると考えるが、裏モノコレクションにかける渡辺氏の純真さを評価する優しい口調だった。

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