子どもを“数分で眠らせる”絵本を心理学者が開発!! 抜群の効果に親も驚愕!一体どんな秘密が?

■口コミだけで大ブレイク

 エルリン氏は、これまでリーダーシップや自己啓発をテーマにした著書を執筆してきたのだが、ある日母親を乗せて少し長めのドライブ旅行をしていた際にアイデアがひらめいたという。ドライブ中に座席でスッと眠りに落ちた母を見て、これまで培ってきた心理学的な方法論を使って「どうやったら子どもをリラックスさせられるだろうか?」という考えがよぎったということだ。そしてこのアイディアを、信号待ちの間に手近にあった紙ナプキンに殴り書きして残し、後から検討に入ったのだが、持てるすべてのテクニックを駆使して完全なストーリーを組み上げるまでには3年半を要したという。

「物語にはUncle Yawn(アクビおじさん)やHeavy-Eyed Owl(眠そうなフクロウ)などのキャラクターが登場し、聞かされている子どもが話の一部に入り込んで主人公のウサギと一緒に眠れるように構成されています」(フォーセン・エルリン氏)

 実はこの『The Rabbit Who Wants To Fall Asleep』は、もともと2013年1月に電子書籍(キンドル版)としてリリースされたものだった。当初は、エルリン氏もこの本に関しては売り上げを気にすることなく、自身のホームページで無料で見られるようにしていたほどであったが、アマゾンの自費出版サービス「CreateSpace」を利用して、2014年8月にペーパーバック書籍として出版したところ注目を浴びるようになり、この8月にはなんとアマゾンの児童向け動物書籍(Children’s Animals Books)部門で売り上げトップに登り詰めることになったのだ。残念ながら日本版はまだないのだが、すでに7カ国語に翻訳されている。

「この本は口コミだけでイギリス中の親子の間に広まりました。自費出版の紙の本が売り上げ一位に輝いたのは、これが初めてのことです」とアマゾンUKのディレクター、アリソン・フォレスタル氏も快挙を祝している。自身でも意外なほどのヒットに見舞われたエルリン氏だが、次も同じく心理学の手法を駆使し、幼児のトイレのしつけをうまくできる本を企画中とのことだ。

 多くの親が効果的な“ベットタイム・ストーリー本”を求めていたという点からも、電子書籍時代の出版という点からも、非常に興味深い話題である。
(文=仲田しんじ)


参考:「Telegraph」、ほか

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場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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