監視社会を生き抜くためのファッションとメイクがかなりカッコいい! アート的プライバシー防衛策!!

■メイクから衣服へ

 CV Dazzleは、アダム・メイヤーが学生時代に書いた研究論文が元になっている。現在彼の関心は監視カメラから自らのプライバシーを守ることからさらに広がり、ドローン対策へと至っている。
 
 彼が開発したプライバシー保護製品の販売サイトでは、対ドローン向けのコートが販売されている。“Stealth Wear”と呼ばれる一連のフード付きコート類はドローンの熱探知カメラから身を隠すためのものだ。熱探知カメラでは、被写体から検知した熱を映像化することでそれが何者かを特定する。それを防ぐために、金属繊維などを織り込んだ特殊な布で作られている。

 見た目はなかなかかっこいい。さながら、SF映画に登場する、近未来社会の逃亡者のような趣だ。サイトにアップされている熱探知カメラをで撮影されたとおぼしきテスト映像を見ると、コートを着用せずに街を歩く人々のなかで、このコートを着用している人の姿は目立たない。

「’Anti-Drone’ Burqa」「’Anti-Drone’ Hijab」といったコートの名称はイスラム圏で日常的に着用されている衣服の名称からきている。そんなこともあってか、アメリカのドローンによる監視や攻撃にさらされているイスラム圏の国々から関心を持たれているという話もある。


■盗聴を防ぐ携帯ケース

 現状、最新商品は“OFF Pocket”という携帯電話ケースだ。これは、外部からの電波を一切遮断し、携帯デバイスの中身を盗聴されることを防ぐためのケースである。

監視社会を生き抜くためのファッションとメイクがかなりカッコいい! アート的プライバシー防衛策!!の画像4画像は、「http://ahprojects.com/」より


■効果はあるのか?

 ここまでくると、アダム・ハーベイはある意味病的なパラノイアなのではないか? と思う人もいるだろう。加えて、効果について半信半疑になる人もいると思われる。実際、ある程度の効果は期待できるが完全ではないと言う専門家もいる。技術は日進月歩で進化するから、いたちごっこであることも間違いはないだろう。

 しかし、「個人のプライバシーは公権力によって犯されている」ということを世の人々知らせ、問題意識を喚起する1つのアートとしては成立しているのではないか。社会に起きている物事をつぶさにすくい取り、創作物や活動を通して人々に周知させている点で、アダム・ハーベイの活動は注目に価するといえるだろう。
(文=ワタナベヒロユ機)

参考・http://cvdazzle.com/

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