【脳の不思議】10の人格を持つ盲目女性が一部の人格において視力が回復!
11月30日、医学情報サイト「Medical Daily」が報じた内容によると、ドイツ人女性のB・Tさんが視力を失ったのは20歳の時だったという。
B・Tさんは痛ましい事故に遭い、頭部と脳にダメージを被った。そして、病院搬送直後から著しい視力低下が起こり、徐々に何も見えなり、失明した。しかしそれは、脳の外傷や疾患が原因で生じる失明ではなく、「心因性失明」だった。
1998年の調査によれば、心因性失明患者は非常に珍しく、すべての視覚障害者の1%だという。
■少年の人格だった時に視力が回復
しかし13年後、B・Tさんが33歳になったとき、不可思議な出来事が起こった。
彼女は当時、解離性同一性障害(DID=多重人格障害ともいわれる)患者としてドイツ・ミュンヘンのサイコセラピスト、ブリュノ・ウォルトヴォガル博士のクリニックに通院していた。もちろん、彼女は失明していたため、盲導犬を頼りに通っていた。
B・Tさんの症状は「10の人格を持っている」というものだった。各自が名前、性別、年齢、声、性格やジェスチャー、顔の表情に至るまでまったく違う。加えて、ある者は英語のみ、ある者はドイツ語のみ、またある者はバイリンガルと個性豊かだった。
だがある日、B・Tさんはセッション中に突然、傍にあった雑誌の表紙の文字がうっすらと見えることに気づいた。視覚の“スイッチ”が入ったのだ。盲の状態から視覚を取り戻した瞬間、その時の彼女は10代の少年の人格だったという。その後セラピーを重ねるごとに、数文字から数行、やがて明るく映しだされた物体が何か識別できるようになり、最終的には普通に見えるまでに回復していった。
すると驚いたことに、彼女のほかの人格たちも次々と目が見えるようになり、10人のうち8人までが視力を取り戻している。また、視覚刺激に反応するB・Tさんの脳の電気的活動を調べた結果、彼女の視覚野は目が見える人格の時はアクティブになり、盲目の人格の時は非アクティブになることが確認されたのである。
とはいえ、いまだ2人の人格が失明したままだ。これについては、B・TさんのfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を調査したことのあるミュンヘンのルートヴィッヒ・マクシミリアン大学のハンス・シュトラスブルガー博士が答えている。
「恐らく、この2名はB・Tさんにとって“避難所”の役割をしていると考えられます。精神的にかなりキツイ状況に陥れば『こんなんだったら、目が見えないほうがマシ!』となることもあるでしょう。そんなとき、見る必要が無くなるよう“スイッチ”を切るんです」
脳科学の分野はいまだにミステリーが多い。B・Tさんにはイザというとき逃げ込める「心の隠れ家」が必要なのだろう。だとしたら、10人中8人まで見えるのだから、無理やりこじ開ける必要もないかもしれない。
(文=佐藤Kay)
参考:「Medical Daily」、「Oddity Central」、「Brain Decoder」ほか
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