【安田純平氏拘束】公安が報道規制、楽観視していた官邸、過激派とのチャンネルなし…問われる政府責任

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yasuda1224.jpg画像は、国境なき記者団で発表された記事からのキャプチャ

 フリージャーナリストの安田純平さんが現在、シリアで武装勢力に拘束されており、処刑の危機にあると国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」がホームページ上で明らかにした。

 同団体によれば、武装勢力は身代金を要求しており、応じなければ殺害すると脅迫しているという。安田さんは6月下旬にトルコ南部からシリア入りしたあと、連絡が途絶えた。実はその時点で日本のメディアは事実関係を掴んでいたが「公安外事課経由で『報じるな』と“報道規制”がかかったため、テレビはおろかイケイケの週刊誌も書くことができなかった」(事情通)。

 外事課とは国際テロ組織などへの諜報活動を行う公安警察の専門部隊のこと。外事課は報道規制の理由について「マスコミが大々的に報じると騒ぎになり、人質の価値が上がる。そうなれば残忍な過激派組織に売却される可能性がある」という言い分だった。埼玉県に住む安田さんの母親のところには、7月末から8月ごろに外務省から「息子さんが拘束された可能性がある」と連絡があったという。

 一方、官邸筋からは当時こんな放言も漏れ伝わっていた。「安田さんを拘束しているのは、残忍なイスラム国(IS)ではなく、国際イスラム戦線の見方が強い。現時点で安田さんの安否確認は取れているから大丈夫だ」。

 緊迫感がないというか、事態を楽観視していたのではないか。

「一般的に人質解放交渉は水面下で行われ、身代金や処刑の話が公になる時は交渉が不調に終わり、打つ手なしの最終段階であることが多い」(中東情勢に詳しいジャーナリスト)という。

 仮に「国境なき――」の声明が本当だった場合、一刻の猶予もない。

1番の問題は今の日本にイスラム過激派と交渉できるチャンネルが期待できないこと。今年1月にISに処刑された後藤健二さんの時も、交渉役はトルコに丸投げしていた。2013年のアルジェリア人質事件の時も外務省はあたふたするばかりで、何もできなかった。中東に赴任した外務省職員は遊んでばかりで、過激派組織と交渉できる部族長や地元の有力者と親交を深めてこなかった」(同)。

 消息不明となってから半年、ここにきて安田さんを取り巻く環境が突然変わった可能性が高い。ニュースを見た人達からは「自己責任だ」という声も聞こえてくるが、有効な方策を打たなかった政府の責任も考えなければならない。最悪な結末となれば、それは“人災”だ。

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